どの素材でもCV数がスマートデバイスに勝るCTV
──CTVの価値を証明するため、野村さんは自社で実証実験を行ったとうかがいました。詳しくお聞かせください。
野村(フジテレビ):当社が出資している古地図アプリ「大江戸今昔めぐり」のインストール数をKPIとし、CTV広告を活用することで数値にどれくらい変化があるかを確認しました。
野村(フジテレビ):大江戸今昔めぐりのDL数は約70万と伸長の余地がありました。プロモーションをほとんどしていないため、真水のようにクリアな条件のもと効果を見られるだろうと考え実験対象に選んだのです。効果のあるクリエイティブと配信タイミングを確かめるにあたり、次の2パターンで広告配信を行いました。
・4種類のCM素材をCTVのミッドロール/ポストロール(※)に配信する
素材間比較/CMポジション間比較追加
・スマートデバイスでも同様のCM素材を配信する
デバイス間比較/L字のあるなしによる素材間比較追加
※コンテンツの途中(ミッド)や後(ポスト)に広告を表示する配信形式のこと
野村(フジテレビ):実験の結果、どのCM素材で比較してもスマートデバイスよりCTVのほうがインストール数は多いとわかりました。配信タイミングで比較した場合、ポストロールよりミッドロールのほうが効果は高かったです。
野村(フジテレビ):コンバージョンレートは「スマホ×ミッドロール」を1とすると、「CTV×ポストロール」は3.5、「CTV×ミッドロール」は5.5というバランスでした。CTV広告はミッドロールだけでなく、ポストロールでもクリエイティブ次第で効果を十分に感じられることがわかるでしょう。
QRコードがなくても記憶に残るからインストールする
野村(フジテレビ):また、今回はQRコードあり/なしでクリエイティブの比較も行いました。よく「QRコードを表示する意味はあるのか」という声を耳にしますが、今回の結果を見る限り、マストではないもののクリエイティブに組み込むほうが効果を期待できると言えます。
驚いたのが、ミッドロールではQRコード経由のインストールより、インプレッションベースでインストールする(CMに接触し、しばらく経ってからインストールする)人が多かったことです。ミッドロールは専念視聴が強いため、記憶に残りやすいのかもしれません。
──今回の実証実験ではAdjustのソリューションが使われたとうかがいました。効果計測の仕組みをお聞かせください。
佐々(Adjust):QRコードを表示することにより、読み込んだ端末の情報がわかるため「どの端末を使い、どの広告を見てインストールしたか」を見ることができます。
佐々(Adjust):クロスデバイスの計測も可能です。各端末につないでいるインターネットのIPアドレスがマッチすれば、同じ環境にいた人だと判断します。いわゆる確率的モデリングの考え方です。この手法を用いると、QRコード経由のインストールが発生していなくても、インプレッションベースでクロスデバイス計測をすることができます。