ブランディングの売上への影響を説明できるか?
木村元氏の初の書籍『ブランド・パワー ブランド力を数値化する「マーケティングの新指標」』は、次のような文章で始まる。
ブランディングは、概念ではなく、あくまでも手法である――手法である以上は、達成されるべき目的(=売上と利益を上げること)があり、またそこにたどり着くための方法や手段が明確にある
現状、多くの日本企業においてブランディングは、ふわっとした概念的なものに留まってしまっている。事実、「ブランディングがどのように・どれだけ売上に繋がっているか」を可視化できている企業はかなり少ないのではないだろうか。
木村氏もマーケティング部に異動したばかりの頃は「チームが一生懸命に作っている“ブランド”がどのように売上に繋がっているのかがわからず、ずっとモヤモヤしていた」と話す。
「売上を構成するロジックツリーは何通りもありますが、最も一般的なのは“客単価”と“購入人数”を掛け合わせて細分化していく形のツリーだと思います。客単価と購入人数を構成する要素をブレイクダウンすることで、事業活動で上げるべき数値や行うべき施策が明確になります。ですが、このツリーにはブランディングに関する要素が一切入っていません。売上を構成する要素として“ブランド”を入れたら、どのようなロジックツリーになるだろうか? と数年かけて試行錯誤を繰り返していました」(木村氏)