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MarkeZine Day 2023 Autumn

チャネルを行き来することは当たり前 KDDIに学ぶ「地上波+CTV」活用と効果分析のアプローチ


 2025年までに国内でのストリーミング視聴時間がテレビデバイス全体の視聴時間の半分を占めると予想され、さらなる注目が集まるコネクテッドテレビ(CTV)。KDDIでは2021年から、これまでのテレビ地上波CMを活用したコミュニケーション活動に加え、「地上波+CTV」の効果検証と分析を実施し、テレビデバイス全体を捉えたプランニングの最適化に取り組んでいるという。MarkeZine Day 2023 Autumnでは、同社でコミュニケーションデザイン部長を務める合澤智子氏、同メディア企画グループリーダーの後舎満氏が、広告チャネルの一つとして注目が集まるCTV広告の活用について、同社の事例を基に語った。

KDDIが進める顧客コミュニケーション改革

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KDDI ブランド・コミュニケーション本部 コミュニケーションデザイン部 部長 合澤智子氏
同部 メディア企画グループ グループリーダー 後舎 満氏

 近年、広告に対する消費者の意識は大きく変わった。デジタルの普及によって直近10年で情報量が急増し、自分にとって本当に必要な情報を取捨選択せざるを得ない状況になっている。CMに比べ、インターネット広告は「鬱陶しい」などのネガティブなイメージが高く、インフルエンサーマーケティングも急速に広がっていることで、企業からのダイレクトなメッセージは消費者に届きにくくなってきているのが現状だ。

 通信キャリアとして、「au」「UQモバイル」といったマルチブランド展開をしているKDDI。これまでCM発で「三太郎」シリーズ、「UQueen」シリーズといった強いコンテンツを保有してきた。

 しかし同社が行っている調査によると、年代が若くなるほど、同社キャリアへの無関心が高まっており、広告想起者でも年代ごとに施策の認知にギャップが生まれている。これらの問題を受け、同社では顧客とのコミュニケーションを、マスとデジタルで統合してプランニングしていくべく、元々別であった宣伝部とデジタルマーケティング部を統合。2022年4月に、宣伝部からコミュニケーションデザイン部に改称した。

 部を統括する合澤智子氏は、「同じ施策でも伝え方を変えていかないと、一辺倒の伝え方では届かない。消費者の興味・関心分野の多様化に応じたコミュニケーション活動、ひいては“モーメントを捉えた”コミュニケーションに近年は力を入れている」と説明する。

KDDI独自の評価手法「A-UR」

 コミュニケーションデザイン部の最上位KPIとして掲げられているのは、ブランド好意度。「顧客のエンゲージメントを高めることによって、各事業への貢献をしていくというのが私達のミッションになっている」と合澤氏は話す。

 その施策の一つがKDDIのメディアプランニングだ。多様化する顧客接点を複合的に活用していくべく近年様々な取り組みを開始している。強化しているのが、「スポーツ」「恋愛」など、コンテンツの特定ジャンル(界隈)に興味関心を持つ人々をそれぞれトライブとして捉えてコンテンツとメディアで捉えていくトライブ型アプローチだ。さらに、トライブ界隈だけで終始するのではなく、それをもっと広く“伝播”させるためのメディア/クリエイティブを同社では目指している。

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 また、先述の通りテレビCMを活用してきた同社では、CMの効果を測る指標についても見直しを行ってきた。

 同社のテレビCMは、2018年まで、視聴率(GRP)での評価で運用していた。しかし2019年からは、視聴率をベースとした評価では、本当にCMが見られているのかまでは不明確な点や、企業側の努力でコントロールしづらいという課題感から、アテンションユニークリーチ(通称A-UR)という独自の評価手法を導入。A-URの定義は1秒以上テレビCMを注視していること。

 「たとえば、5人中4人がCMを1回以上注視すればA-URは80%、といったように数値化し、これらのデータを基にヒートマップを作成。テレビスポットのプランニングにおける絵柄の検討やタイムの番組選定に活用しています」(後舎氏)

 GRPよりもA-URの方が、CM認知との相関が高いという結果がデータからも出ており、より視聴の“質”を重視した評価運用を実現している。

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この記事の著者

釘﨑 彩子(クギサキ アヤコ)

 2019年からマーケティング・広告の専門出版社で編集者として勤務。広報・PR分野を中心に編集業務にあたる。2022年よりフリーランスのライターに。媒体問わず、マーケティング、広報、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/26 15:47 https://markezine.jp/article/detail/43879

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