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MarkeZine Day 2023 Autumn

商圏人口が減少しても負けないビジネスモデルへ サツドラが取り組む「リテールDX×地域戦略」

 人口が減少傾向にある日本で今後リテール企業が生き残るにはどのようなビジネスモデルが必要か。ドラッグストア「サツドラ」の運営などを手掛けるサツドラホールディングスでは、国内でも人口減少が進む北海道を中心拠点としながらも持続可能かつ地域に根ざしたビジネスにしていくことを目指し、様々な取り組みを展開している。MarkeZine Day 2023 Autumnで同社代表取締役社長 CEOの富山浩樹氏がこれまでの取り組みと次なる戦略について語った。

リテールをコアにリテール以外でも稼ぐビジネスを

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サツドラホールディングス株式会社 代表取締役社長 CEO 富山浩樹氏

 北海道を拠点にドラッグストア「サツドラ」を運営するサッポロドラッグストアーやポイントカード事業などを手掛ける「リージョナルマーケティング」といった様々なグループ会社を擁するサツドラホールディングス。

 同社では、「健康で明るい社会の実現に貢献する」というミッションを掲げてきたが、近年では「ドラッグストアビジネスから地域コネクティッドビジネスへ」というビジョンを設定して新たな取り組みを始めている。

 地域コネクティッドビジネスとは造語で、「ドラッグストアというコアを活かし地域に根ざしたビジネスをしていく」という想いを込めたものだ。CSRやボランティアではなく、ビジネスを通して地域の新しい形を作っていくのだという。

 サツドラの主要な商圏となっている北海道は、全都道府県の中で人口の減少スピードが全国でも最も早く進む地域の一つだ。将来推計人口では、札幌一極集中が予測されながら札幌の人口も減っていくため、それ以外の地域ではなおさらに人口減少ならびに過疎化が進むと考えられる。人口が減少すると、その地域の生活や医療に関わるサービスが存続できずに消滅するという課題が生じる。消滅する可能性が高まる人口のボーダーラインは業種によって異なるが、一つの指標として人口5,000人を切ると存続できないものが多い。

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 人口減少によって生じる課題は、今後都市部以外の日本全国どこでも起こり得るものばかりだ。一足早く減少が進んでいる課題先進地域の北海道でそれらを解決する取り組みを行うことは、他の地域にとってもモデルケースとなるだろう。

 サツドラホールディングスでは、約200店舗あるサツドラをはじめ260社960店舗(2023.11現在)で使える共通ポイントカードEZOCAを活用し、地域課題を解決しリテール以外でも稼ぐビジネスにチャレンジしている。

 「人口が減少して既存マーケットが縮小していくと、我々最大のコアとなっているサツドラの店舗自体もアップデートしていかなければなりません。そこに地域課題を解決する戦略を組み合わせることで、顧客のLTVを拡大し、さらに国内外のマーケットにまで拡大していくことを目指しています。この北海道モデルが、今後日本の他の地域のモデルにもなり得るのではないかと思っています」(富山氏)

アプリを軸にリテールメディア化・リテール向け外販まで拡張

 リテール以外でも稼ぐビジネスにおいて重要な役割を担うのは、サツドラ店舗共通で使える「サツドラ公式アプリ」だ。サイバーエージェントとともにUI/UXにこだわり開発し、App Storeにおいてドラッグストアアプリでは異例のユーザー評価★4.5を獲得している(2023.11現在)。現在55万ダウンロードされており、今期中には65万ダウンロード達成を目指すという。

 アプリでは特売やチラシに頼る従来の販促の代替ではなく、購買データを活用した1to1マーケティングを行っている。今後はアプリからECへ導線を作るような機能も増やしていきたいと考えている。

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 さらに、広告プラットフォーム「リテールコネクト」によって、リテール事業者の広告事業開発をサポートしていく。リテールメディアはWalmartで採用されるなど今欧米で伸びている分野だが、日本でも盛り上がりつつある。

 リテールコネクトは、サツドラ店舗で実証実験を繰り返してターゲティング精度を高めていることが強みだ。店内サイネージによって有効な顧客の導線や視聴実績の分析ができ、さらには実際に購入に至ったか否かまで追跡まで成功している。

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 同社ではリテールコネクトで店舗を広告プラットフォーム化することを「リアル空間のWeb化」と呼んでいる。クラウドPOSを自社開発しているので、他のメーカーに頼ることなく基幹システムやPOSシステムをクラウド化し、アプリとシームレスにつながれる点も強みだ。現在はサツドラ約50店舗で稼働し、より精度を高めている。

 「元々自社店舗のために自社開発したリテールの仕組みを他のリテーラーに販売していくことで、成長を目指しています。これにより、リテールのDXを我々が推進していく役割を担えたらとも思っています」(富山氏)

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/43880

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