完全に「BACK!」した今のNYから最新のマーケトピックスを紹介
田中:今日は、久しぶりに来日されたマーケティングコンサルタント ルース・スティーブンスさんをお迎えして、ニューヨークのマーケティング最新トレンドについてお話しをお聞きします。今回、ルースさんは、BtoBマーケティングの専門会社、シンフォニーマーケティング主催の「IGC Harmonics 2023」に基調講演者として招待来日され、同社のご厚意によって今回のインタビューが実現しました。改めてシンフォニーマーケティング社に感謝を申し上げたいと思います。
ルースさんは、BtoBマーケティングやコンサルティングのお仕事に長年従事されていて、アメリカではその方面での著名人です。コロンビア大学やニューヨーク大学ビジネススクールでも教鞭を執られています。また、日本には若い頃から長期間滞在されていたこともあり、知日派のマーケターでもあります。
ルース:私が事業会社でマーケターとして働いたのは15年ほどなのですが、そのうち半分はBtoB、また半分はBtoCの企業でビジネスを行っていました。ですので、マーケティングはBtoC、BtoBどちらも好きですよ。
田中:IBMやタイムワーナーで働いていらしたのですよね。
ルース:ええ、そうです。
田中:本題に入る前に、コロナ禍以降、今のNYがどうなっているか、お話しいただけますか?
ルース:ひとことで言えば「Back!」ですね。何もかもが、コロナ前に戻りました。お店も開いていますし、通りは以前のように人であふれています。様々なアート関連のイベントや、アウトドア関連のイベントが開かれていて、活気にあふれていますし、ポジティブでエネルギッシュな空気を感じます。
田中:コロナ禍の間、NYはどんな様子だったのですか?
ルース:恐ろしかったです。みんな食べ物以外にお金を使おうとしませんでした。平常に戻るまで3年間待つしかなく、日本と同じくとても苦しい日々でした。
田中:マーケティング活動の面では、コロナの前後でどのような変化があったでしょうか?
ルース:オンライン小売業(EC)の重要性が格段に増したのは確かです。以前からECは重要とされてきましたが、それでもコロナ前は実店舗でモノを買う人はまだたくさんいて、彼らはECでモノを買おうとしませんでした。オンラインショッピングは、彼らにとって快適ではなかったからです。要は、実際に商品を手に取って見て、洋服だったら試着をしてから買いたいわけですよね。一方、コロナ禍で「リモートショッピング」と呼ばれる購買スタイルが登場し、彼らも快適にオンラインで買い物ができるようになりました。これが最も大きな変化だったと思います。
田中:なるほど、その変化は日本においても同様です。当たり前ですが、日本よりECが浸透しているアメリカでもそういった消費者は存在していたわけですね。