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「欲望(Desire)」で紐解く、消費者の今と未来

Z世代とミレニアル世代はリアルイベントに何を期待する?調査結果から見えた「イベント体験価値」の世代差

期待する体験価値(欲求)の世代差が大きかったリアルイベントは?

 Z世代・ミレニアル世代はリアルイベントにどんな体験価値(欲求の充足)を期待し、それは世代間でどのように異なっているのでしょうか? 今回は、期待する体験価値(欲求)の世代差が鮮やかに示された3つのイベントに絞って解説していきます。

<タップして拡大>【図3】Z世代 リアルイベントと「魅力を感じた理由(満たしたい欲望)」の関連
<タップして拡大>【図3】Z世代 リアルイベントと「魅力を感じた理由(満たしたい欲求)」の関連
<タップして拡大>【図3】Z世代 リアルイベントと「魅力を感じた理由(満たしたい欲望)」の関連
<タップして拡大>【図4】ミレニアル世代 リアルイベントと「魅力を感じた理由(満たしたい欲求)」の関連

非日常な空間・体験に没入できるイベント:Z世代は興奮や感動を求め、ミレニアル世代は仲間とのつながりを重視

 このイベントは、Z世代では第二象限(右上)に位置しています。近くにある欲求からは、Z世代が【非日常な空間・体験に没入できるイベント】に「興奮したい」「はまりたい・没頭したい」「感動したい」といった体験価値を求めていることがわかります。

 また、Z世代では【非日常な空間・体験に没入できるイベント】の近くに【「本物」や「実物」に触れられるイベント】のみがプロットされています。これは、これら2つのイベントがZ世代の中で際立って差別化されていること、期待される体験価値が似ていることを示しています。

 では、ミレニアル世代ではどうでしょうか? 【図3】を見てみると【非日常な空間・体験に没入できるイベント】は第一象限(左上)に位置しており、近くには「みんなで盛り上がりたい・共感したい」「遊びたい・笑いたい」「興奮したい」といった欲求があります。また、【同じ趣味の仲間が集まるイベント】【自分の応援や声援を届けられるイベント】も近くにプロットされています。

 こうした結果から、ミレニアル世代は【非日常な空間・体験に没入できるイベント】に、ひとりで没頭するよりも、他の仲間と一緒にわいわい盛り上がりたい、興奮したいという体験価値を求めている様子がうかがえます。ミレニアル世代では【非日常な空間・体験に没入できるイベント】を、同じ趣味や推しを持つ仲間と一緒に自分の声援を届ける“推し活の現場”のようなものと捉える人が多いのかもしれません。

ポイント解説

・Z世代が「非日常な空間・体験に没入できるイベント」に求めるのは、「興奮したい」「はまりたい・没頭したい」「感動したい」といった体験価値

・ミレニアル世代が「非日常な空間・体験に没入できるイベント」に求めるのは、ひとりで没頭するよりも、他の仲間と一緒にわいわい盛り上がりたい、興奮したいという体験価値

知識や視野を拡げてくれるイベント:他者と分かち合いたいZ世代、自分を高めたいミレニアル世代

 このイベントは、Z世代、ミレニアル世代いずれも、第三象限(左下)に位置しています。イベントの近くに「知りたい・学びたい・探求したい」欲求がある点も世代で共通しています。興味深いのは、「知りたい・学びたい・探求したい」以外で近くに配置されている欲求が、世代で大きく異なる点です。

 Z世代では、【知識や視野を拡げてくれるイベント】の近くに「仲良くなりたい・つながりを大切にしたい」「教えてあげたい・情報共有したい」といった欲求がプロットされています。

 一方ミレニアル世代では、このイベントの近くに「人より優れたい・優れていると思われたい」「人に影響を与えたい・コントロールしたい」「人に認められたい」といった、承認&優越欲望に含まれる欲求が多く見受けられます。また、「悪目立ちしたくない・嫌われないよう、批判されないようにしたい」欲求があるのも特色です。

 つまり、Z世代は【知識や視野を拡げてくれるイベント】を通して参加者とのつながりを深めたり、学んだことを周囲に共有したいと思っていることがわかります。対してミレニアル世代がこういったイベントに期待する体験価値には、「他者に認められて優越感を感じる」という積極的なものと、「自分の年代・立場として恥ずかしくない知識レベルに達したい」という消極的なものの両方があると考えられます。

ポイント解説

・Z世代が「知識や視野を拡げてくれるイベント」に求めるのは、「仲良くなりたい・つながりを大切にしたい」「教えてあげたい・情報共有したい」といった要素

・ミレニアル世代が「知識や視野を拡げてくれるイベント」に求めるのは、「他者に認められて優越感を感じる」という承認欲求的な体験価値に加え、「自分の年代・立場として恥ずかしくない知識レベルに達したい」という消極的な要素もある

楽しみながら社会貢献できるイベント:Z世代にとってはセルフブランディングの手段?

 最後にとりあげるのが、社会貢献イベントに期待する体験価値(欲求)の世代差です。

 【楽しみながら社会貢献できるイベント】は、Z世代では第三象限(左下)にプロットされています。また、いずれの世代でも、近くに「社会や環境に良いことをしたい・貢献したい」欲求があります。

 着目していただきたいのは、Z世代では、このイベントが他のイベントから離れた位置にあり、かつ近くに「人に影響を与えたい・コントロールしたい」欲求がある点です。ここでの「人に影響を与えたい・コントロールしたい」欲求は、二通りの解釈ができると考えます。

 ひとつは、「行動(=イベント参加)によって、課題に直面している人の助けになりたい」という意味。そしてもうひとつは、「こうしたイベントに参加することで、自分は『社会貢献意識が高い人間なのだ』と他者に伝えたい、自分をブランディングしたい」という意味合いです。

 なお、ミレニアル世代でもこのイベントは第三象限に配置されていますが、中心点にかなり近いところにあり、近くに複数の欲求やイベントが密集してプロットされています。このことから、ミレニアル世代はZ世代ほど、【楽しみながら社会貢献できるイベント】に特有の体験価値を見出していない様子がうかがえます。

ポイント解説

・Z世代もミレニアル世代も「楽しみながら社会貢献できるイベント」を通して「社会や環境に良いことをしたい・貢献したい」という欲求を満たしている

・Z世代の場合は、「楽しみながら社会貢献できるイベント」に対して「人に影響を与えたい・コントロールしたい」という欲求も持っている

商品・サービス×期待する価値(欲求)で考える欲望起点のマーケティング

 今回の調査では、DDDのフレームを活用することで、Z世代・ミレニアル世代がイベントに期待する体験価値を把握するとともに、その世代差をビビットに捉えることができました。

 今回用いた調査・分析フレームは、リアルイベントでだけでなく様々な商品・サービスに応用可能です。今後は、DDDのフレームに基づく欲望マーケティングを様々な切り口からご提案していきたいと考えています。

 また、今回の調査で見出したインサイトを実際のイベント企画・運営に繋げ、その効果を検証しながらPDCAを回すことで、より実用性の高い欲望マーケティングを探っていきます。近い将来、そうした効果検証の結果などについてご報告できるよう、引き続き電通グループとして取組を進めてまいります。

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この記事の著者

工藤 玲(クドウ レイ)

株式会社電通マクロミルインサイト リサーチオペレーション部 人と生活研究所 リサーチャー

金融機関系シンクタンク・事業会社のリサーチ部署を経て、2023年株式会社 電通マクロミルインサイト入社。 “人”を基点に、インサイトやトレンドに関するメソッド開発や、情報発信していく窓口「人と生活研究所」所属。 住宅、家電...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/16 09:30 https://markezine.jp/article/detail/43927

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