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大規模国際イベントをフルハイブリッド化 ICIAMとZoom Eventsに学ぶ成功の秘訣

 コロナ禍を経て、イベントの選択肢として当然のものとなったオンライン開催。現在は対面とのハイブリッド開催など有効な実施手法が模索されている。イベントの目的達成、参加者の体験を損なわないイベントにするには何が必要となるのか? 4年に一度の国際研究集会「ICIAM(イシアム)」を開催する国際機関ICIAMでは、2023年8月に早稲田大学の会場(対面)とZoom Events(オンライン)を使った形で同集会初のハイブリッド開催を敢行。プレゼンターもローカルとオンラインの両方に存在するなか、最大93のセッションを同時配信し、5日間で1,000以上のセッションを成功させた。本取材では、ICIAM 2023 Tokyoのハイブリッド初開催をリードしたお二人と開催の支援をしたZVC JAPANの担当者に取材。ハイブリッド開催に求められる要件、ツールの選定への考え方など、今後のイベント開催を成功に導くためのヒントを共有する。

応用数理学の“オリンピック”をハイブリッドで開催

MarkeZine編集部(以下、MZ):2023年8月、国際会議ICIAM(イシアム)の第10回として「ICIAM 2023 Tokyo」がハイブリッド開催されました。まずは、ICIAMがどのような会議なのかを簡単にお教えください。

大石:ICIAM(International Congress on Industrial and Applied Mathematics)は応用数理学という分野の研究発表を行う国際会議です。4年に一度の頻度で開催されており、3,000~4,000名の研究者が集まります。応用数理学の世界では誰もが知るオリンピックのようなものですね。今回は、86ヵ国が参加し、5,000件を超える発表を行いました。

大石氏
早稲田大学 理工学術院 教授/ICIAM 第25代会長 大石進一氏
早稲田大学において情報学分野の学術組織の立ち上げに早期から取り組み、現在の応用数理学科の確立に大きく貢献。同領域において後進研究者の育成および国際会議の開催運営を数多く行う。ICIAM 2023 TokyoではCongress Directorとして開催運営をリード

大石:応用数理学は数学のなかでも産業界の役に立つ数学に焦点を当てたもので、比較的新しい分野です。その研究者たちの輪を世界に広げて発展させる目的で、米国のSIAM(Society for Industrial and Applied Mathematics、通称サイアム)をはじめとした代表的な5つの学会が40年前にICIAMを始めました。優れた研究に対して5つの学会からそれぞれ賞が授与される機会でもあり、それが目玉になっています。今回、JSIAMがスポンサーとなる賞も加わりました。数学会ではフィールズ賞が有名ですが、6つの賞はそれぞれに相当するものです。

 研究テーマごとに発表と討論を行うミニシンポジウムをメインとしながら、そのほかに出版社による展示や研究の進展を促すソフトウェアの紹介、参加者の体験に寄与する現地ツアーやワークショップなども催しています。多面的な体験の提供によって研究グループの創出をサポートしているイベントですね。

目指すは完全なハイブリッド オンライン参加者の利益も重要視

MZ:ICIAMは今回の「ICIAM 2023 Tokyo」で初めてハイブリッド開催を行ったとうかがいました。その狙いはどのようなものだったのでしょうか?

大石:日本で開催することは決まったのは6年前でした。新型コロナウイルスが流行し始めたのは約3年前ですから、国によってビザの出ない状況や日本側も入国を閉ざしてできない状況が続くなか、オンライン開催を想定して準備していました。ところが、開催前年である2022年の9月になって開催時には入国できるようになるとわかりました。

 そのためICIAMの本部から「現地を主体に開催してほしい」という強い要望がありましたが、現地では参加できない方がいるのは確実です。そこで開催の数ヶ月前に、ハイブリッド開催という方針が決まりました。

 もちろん、我々としてはオンライン参加の方にも現地参加とほぼ同等のベネフィットを提供したいという考えだったため、オンライン参加でもどの会議にも参加できることを原則に、完全なハイブリッドを目指しました

大石氏

大石:技術面でいえばオンライン開催のノウハウが欠かせないものとなります。現地開催ならスライドを大きく映し、マイクからスピーカーへ音声を通すだけで済みますが、当然ハイブリッドでは現地にいるプレゼンターもすべてネットワークにつながることが前提であり、その点で大きく違うんです。

 過去の大きな国際会議でもハイブリッド開催が上手くいっていない様子を見て、難しさは痛感していました。ただ、参加費に比べて何倍ものベネフィットを倍返しするためには、そもそも前例主義ではダメだと思います。アドリブを効かせた失敗のない体制作りが必要と考え、若手を中心に要件を整えてもらい、迅速なレスポンスができるようにしました。

プラットフォームに求めた「アクションの少なさ」「穴のない仕組み」

MZ:ツールの選定にあたって、目指した体験を実現するためにどのような点を重視されましたか?

山中氏
明星大学 情報学部 情報学科 准教授/ICIAM 2023 Executive Committee Secretary 山中脩也氏
大石氏のもとで研究者として経験を積むなか、情報学分野のシンポジウムや国際会議を国内外で開催運営に携わる。ICIAM 2023 Tokyoではハイブリッド開催に向けたツール選定などの調整に注力

山中:一つは、オンライン参加であろうと参加者がしなければならないアクションの数を少なくすることです。参加者にはオンライン参加に必要な操作に不慣れ方、その形式自体に抵抗感があるという方もいます。できるだけハードルを下げたいと感じていました。

 もう一つは、運営側として「穴」を作らないこと。たとえば、特定のWebページ上に会議参加用のURLがあるという状況では、どこかで流出した場合に使い回されてしまう危険があります。当然この危険性には前々から気づいており、参加登録したメールアドレスがないと入れないようにする必要があると考えていました。予想外のエラーがあった場合、ある程度の規模では人力で対応も可能かもしれませんが、特に並行する会議数が多いイベントでは不可能です。このような穴を作らない仕組みが必要と考えていました。

MZ:こうした前提のうえで、今回は配信プラットフォーム「Zoom Events」を採用していますが、どのような経緯がありましたか?

山中:事前のリサーチとして海外の大きな会議の様子を見ていると、運営側の精神的なハードルからか自国のプラットフォームを利用しているケースが多く見られました。しかし、我々の目指す国際会議で上手く機能するか考えると懸念点が多く悩みましたね。

 一方、様々な運営実行委員の方と話をするなか、海外の研究者との普段のコミュニケーションにはやはりZoomが多く使われている状況でした。当時、ZoomミーティングとイベントプラットフォームとしてのZoom Eventsにどのような差があるのかはあまりわかっていませんでしたが、使い勝手の良さについてZoomが知れ渡っているのは間違いありませんでした。ハイブリッド開催の方針が固まった折に詳しく話をうかがったところ、ちょうどZoom Eventsの大型アップデートがあり、先述の要件についても期待できるものとわかりました。

MZ:Zoom Eventsの概要を改めてお教えいただけますか?

島方:Zoom Eventsは、ハイブリッドイベントやオンラインイベントの管理から運営、チケット発行、決済まで、すべてのプロセスをワンストップで可能にするオールインワンイベントプラットフォームです。

 Zoom Meetings やZoom Webinarsのどちらで開催するかを選べる点に加え、マルチセッション、複数日に渡るイベント、同時間帯にパラレルで開催するイベントにまで対応できる管理機能が特徴となっています。

島方氏
ZVC JAPAN エンタープライズ営業本部 公共・文教営業部 部長 島方敏氏

島方:従来のイベント運営では申し込みフォームの準備やチケットの販売、当日の配信、バーチャル ブースの体験機能などを別々のツールやサービスで行われるケースが多かったのですが、Zoom Eventsは、イベントロビー・Expoフロア・ネットワーキング機能など、出席者と参加者のつながりを構築する機能や、メール配信機能を備えており、Zoomの安定した配信とともにこれらをまとめて行える唯一無二のプラットフォームとして進化しています。

前例のなかった大規模同時配信でフルハイブリッド化に成功

MZ:こうして準備した結果、今回の開催ではどのような体験を提供できたのでしょうか?

大石:オフラインの会場である早稲田大学では120の教室を確保し、Zoom Events上でもそれに対応して120のセッションを同時並行で配信できるようにしました。プログラムの整理もあり、実際には最大で93セッションを同時配信しました。

山中:本来、同時並行で配信できる数は限られますが、その点はZoomにご相談し、柔軟な対応をしていただけました。

島方:我々としても過去に経験がないほど大きな規模のイベント開催でした。しかし、グローバルのプロダクトチームに直談判して調整を重ねた結果、ご要望に近づけることができました。今回の経験を通じ、柔軟に対応できるZoom Eventsのポテンシャルをお見せできたのではと思います。

臨場感あるオンライン体験・安定した配信・不正参加防止を実現

山中:各部屋の設備についてもお話しすると、オンライン参加者にも会場の雰囲気が伝わるようにカメラを多く配置するなどの工夫をしていました。講演者の動きに合わせてセンターフレームをするカメラの映像や、会場を見渡せる360度カメラの映像、講演のスライドのすべてをオンライン参加者に届けました。

講演風景
開催時の講演風景と配信画面の様子。配信画面でも会場の雰囲気が伝わる

大石:キーノートには別途プロの撮影スタッフを揃えたり、パネルを設置して発表をしている空間にもカメラ付きで遠隔操作できるロボットを配置し、自由に見てその場の人と会話できるようにしたりしました。

山中:これら複数の映像もZoom Eventsとつながっており、映像・音声ともに高い質で安定して機能してくださいました。従来のハイブリッドイベントにはオンラインで参加すると、オフラインの参加者に比べて取り残されているような感覚があると思うんです。今回はこうした設備と包括的なシステムのおかげでオンラインとオフラインに公平な体験が作れていたのではと思います。

大石:加えて、Zoom Eventsを使ったことで最も有益だと感じたのは、不正参加を完全に防げたことです。プレゼンターは現地だけでなく、オンラインにもいますが、プレゼンターを含むすべてのオンライン参加者はZoomのアカウントでZoom Eventsにログインしていただくことが基本になりました。参加費を支払わずに不正参加するケースは問題視されてきたことなので、本当に助かりました。

 ハイブリッドイベントのメリットは離れた場所にいる方でも旅費をかけずに参加できることです。今回の場合、希望する方には参加費用を無料にし、オンラインで参加していただきました。通信環境さえあれば、世界中のどんな人にでも仲間ができる機会を作れたのは誇れることであり、ハイブリッドイベントにして良かった点です。

大石氏・山中氏

「柔軟性」を活かしてフルハイブリッドをスタンダードに

MZ:今回の開催を経て、ハイブリッドイベントやZoom Eventsの活用にどのような可能性を見ていますか。展望をお教えください。

大石:アフターコロナの時代になり、対面参加だけの国際会議はほぼなくなるのではないかと考えています。オンライン参加の人にも利益をきちんと提供するためには“フルハイブリッド”が将来のあるべき姿です。今回の開催によってZoom Eventsがハイブリッドイベントを開催するために便利で役に立つことは実証されました。この事例が広く伝わることによって我々が感じたZoom Eventsの良さが理解されていくと信じています。

 また、今回利用したカメラや通信環境などの設備については、東京観光財団が行うハイブリッド型のイベントを支援するプログラムを通じて支援いただきました。多くの人を呼ぶイベントには、こうした理解ある団体や自治体から協力を得るのも今後運営される方には重要だと思われます。

山中:今回素直に驚いたのは「Zoomさんってこんなにフットワークが軽いんだ」ということです。実際にお話してみるとかなり柔軟でした。複雑な要件であるなか、社内の調整のために動いて懸念点を解消していただきました。成功に向けて一緒に歩んでくれる、共同研究者のようなパートナーです。製品群のそれぞれが進化を続けているのも研究姿勢の表れではないかと感じます。Zoom Eventsも参加人数に合わせて価格が変えられるようになるなど進化していますし、クライアントの相談に対応し、素早く機能として反映していく姿勢が世界的に広がっている理由なのだと思います。

島方:前例主義に陥らないようにすることや、イベント参加者をはじめ使っていただいた方がハッピーになることを追求するという考え方は、Zoomの提供する我々のマインドでもあり、その姿勢が互いにあって成功につながったのだと感じました。これまでZoomの規模が拡大してこられたのも、お客様ファーストのマインドがあったからと考えていますし、期待に応えて成長できる柔軟さを今後も保ちながら、プロダクトを提供していきたいと思います。

イベントのハイブリッド開催をお考えの方へ

 Zoom Eventsを利用すれば、複数日にわたるハイブリッド形式のイベントを開催することが可能です。EXPOホールや疑似ライブ配信、チケットの発行、マルチセッション配信など、規模が小さなイベントから大規模なイベントまで、ひとつのプラットフォームを利用して簡単に主催することができます。

 無料トライアルも実施しております、ご興味のある方はこちらからお問い合わせください。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:ZVC JAPAN株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/26 10:00 https://markezine.jp/article/detail/44111