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丸亀製麺2023年のSNSを総振り返り Instagram、X、TikTokでの試みを一挙公開


各社対応に追われたXの運用は?

MZ:次はXの運用についてお聞かせください。今年は仕様の変更が多々あり大変だったと思いますが、予算やリソースのかけ方に変更はありましたか?

小西:この1年で、Xに対するリソースのかけ方や注力度合いを大きく変えたというようなことはありません。ただ、やはり、これまで通りの考え方や運用方法では対応できなくなっている部分も多々あります。

川田:たとえば、大量のデータを活用する時、以前は無料で活用できたのですが、仕様変更により有料でしか活用できなくなりました。こういった制限が増えている中、これまでやってきたことをいかに実現していくかというのが今年のX運用のテーマだったと思います。

ホットリンク ソーシャルメディアコンサルタントの川田恭ノ介さん。丸亀製麺のXの運用を担当している
ホットリンク コンサルティング本部 コンサルティング4部の川田恭ノ介さん。丸亀製麺のXの運用を担当している

小西:元々お客様に丸亀製麺のことを好きになってもらうために運用しているので、楽しんでもらわなければ意味がないんですよね。楽しさをご提供する、満足度を上げていくという従来から続けていたX運用を継続していきたいという考えが先行してあり、そのための対応を日々考えているところです。

加藤:具体的には、過去の勝ちパターンをもとにした企画を現状の仕様で実行しながら、カンバセーショナル形式のハッシュタグ投稿企画やクイズ企画など、お客様参加型の投稿企画を行うことでUGCの創出やエンゲージメントの向上を図っています。

トリドールホールディングスのマーケティング本部 コミュニケーションデザイン部 プランニング課に所属する加藤由希子さん。丸亀製麺のマーケティングは「戦略」と「戦術」でチームが分かれており、加藤さん戦術を担うチームに所属。小西さんと二人三脚でソーシャル活用にあたっている
丸亀製麺のマーケティング本部 コミュニケーション&CXデザイン部 コミュニケーションデザイン部に所属する加藤由希子さん

2023年4月から本格運用を開始、TikTok活用の現在地

MZ:続いては、TikTokの運用について。丸亀製麺では2023年月から本格運用をスタートされたとのことですが、どのような考えのもと始められたのですか?

小西:TikTokのアカウント自体は2020年に開設しており、キャンペーンで企画として活用することは度々ありました。ですが、日々の運用に落とし込むにはリソースが足りず、定常的な運用は保留にしていたという経緯があります。

 今年4月から本格運用を始めたのは、シンプルに「お客様とのタッチポイントをもっと増やしたい」と考えたからです。基本的にInstagramのリール動画からTikTokに合うものを抜粋する形で投稿しており、Instagramとセットでクリエイティブを考えることでリソースの問題も解決されました。

MZ:TikTok活用については、キャンペーン期間中に一時的に活用するというような企業が多かったと思います。丸亀製麺のように本腰を入れて定常運用を始める企業も増えているのでしょうか?

山本:おしなべると一周した印象ですね。「TikTok売れ」というワードが出てきたのが2021年で、当時は広告費を大きく投下して一気に話題化に繋げるというような活用の仕方が主でした。それに追随して多くの企業がTikTokを使った施策を実施してきたわけですが、ここまで実施してきた施策の結果を踏まえて、「今後の活用をどうしていこうか?」と検討している段階が今なのだと思います。他のSNS媒体と横並びに比較をして、効率のよいメディアはどこかを検証している段階ですね。

ホットリンク コンサルティング本部 コンサルティング4部の部長を務める山本明生さん。丸亀製麺ではTikTokの運用を担当し、InstagramとX含めた全媒体の運用支援を統括している
ホットリンク コンサルティング本部 コンサルティング4部の部長を務める山本明生さん。丸亀製麺ではTikTokの運用を担当し、InstagramとX含めた全媒体の運用支援を統括している

MZ:丸亀製麺のTikTok運用で、ここまでに再現性のあるメソッドのようなものは見えてきていますか?

山本:運用を始めた2ヵ月後の今年6月頃には、徐々に「バズの法則」が見えてきました。TikTok活用の最大のポイントは「1.コメント欄の盛り上がりをいかに作るか」「2.保存してまで後で見返したくなるコンテンツか」ということ。この2点のどちらかを捉えている動画は再生時間が伸びやすいです。再生時間が伸びると、アルゴリズムに「良い動画」だと判断されますから、おすすめ欄に載る確率が上がり、再生回数も伸びる傾向にあります。

 具体的には、コメント欄を盛り上げる目的で、「私はこれが好き!」というように議論を生む要素や、ツッコミどころを動画内に組み込んだり。コンテンツの情報性を高め保存数を上げる目的で、従業員がおすすめする思わず試したくなるアレンジや、メニューの売上ランキングなどを紹介したりといった勝ちパターンを発見しました。まだ運用して半年ほどですが、動画を投稿する度に、企画や運用の解像度が高まっている感覚があります。

丸亀製麺公式TikTokより『丸亀製麺従業員おすすめの食べ方「4選」』
丸亀製麺公式TikTokより『丸亀製麺従業員おすすめの食べ方「4選」』

 InstagramもTikTokも「丸亀製麺の攻略」というコンセプトは同じで、投稿しているコンテンツも同じですが、特に、コメント欄の盛り上がり方は全然違います。これは媒体のカルチャーの違いに起因するものだと考えていて、TikTokはXや2chにも近い雰囲気があるんですよね。匿名ユーザーも多いです。ゆえに、承認欲求を満たしたり、共感を求めたりといった行動がコメント欄で見られるのだと思います。

 こうしたメディアの特性を活かし、丸亀製麺では「丸亀製麺の攻略掲示板」というコンセプトのもと、賑やかなコメント欄を作ることを目指しています。

MZ:ユーザーが能動的だとその後の購買により繋がりやすいイメージがあるのですが、売上への効果効率が高いなどの傾向があったりするのでしょうか?

小西:数字としては、良い傾向値が出ています。ただ、まだ運用してから期が浅く、量を詰めていないので、もう少しトライアンドエラーを重ねて検証していかないといけないですね。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2025/09/04 18:00 https://markezine.jp/article/detail/44224

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