SNSでもブランドのイズムを大切に
MZ:ちなみに、丸亀製麺では、媒体ごとに発信する時のキャラクターを分けたりしていますか?
小西:そこの意識はあまりありません。男性でもないし、女性でもない。メディアから受けるかわいらしい・面白い・クールなどのイメージでブランドの性格が形成されるようなことは避けたく、意図的に出さないようにしています。あくまで「公式」からの発信ですね。
ですが、丸亀製麺の従業員が掲げている理念はソーシャル上でも大事にしています。丸亀製麺の店舗には、お客様が求めるもの以上のことを率先して行う、おせっかいなくらいに丁寧な接客をしているスタッフの方々がたくさんいます。ソーシャルでも、そうした温かい心や嬉しい驚きを提供していきたいですし、いつも誠実でありたいと思っています。
川田:「誠実さ」に関しては、我々も意識して日々運用にあたっています。テキストの文面や画像、動画のいずれにおいても、表現する際に意識しているところです。
MZ:クリエイティブ面で特にこだわっているポイントは何でしょうか?
秋山:「シズル感」をとても大事にしています。丸亀製麺で最もシズル感を表現できるのは、やはり「麺線」だと思っていて。麺の表現がふにゃっとくびれることなく、真っ直ぐ落ちるようになっているか、麺にしっかり厚みがあるかといったところはかなり意識してクリエーションしています。
MZ:すごくうどんを研究されているんですね。パートナー各社へのインプットにも注力されているのでしょうか?
小西:そうですね。商品開発の担当者にこだわりポイントや開発時の苦労をヒアリングいただく場を作ったり、期間限定の商品が出る時は商品を食べていただいたりしています。麺そのものを味わっていただくような機会も設けたことがありました。やはり、実際に食べていただかないと、発信するほうも表現できないところがあると思っています。
秋山:丸亀製麺には「麺匠」と呼ばれる方がいるのですが、前に一度その麺匠さんに、茹で時間を1分ずつ変えた釜揚げうどんを食べさせていただいたことがありました。その時、麺ってこんなに茹で時間で変わるんだという感動体験をしまして、そういったインプットを多々させてもらっています。
ソーシャル発でムーブメントを起こしていきたい

MZ:最後に2024年の展望をお聞かせいただけますか。
小西:大きくはこれまでと変わらないです。ブランドのことをもっと好きになってもらう、丸亀製麺のファンをもっと増やしていくために、お客様との重要なタッチポイントの一つとして各媒体運用していきます。
そして、熱量の高いファンがいて下さるアカウントをここまで大きく育てられたからこそ、ソーシャルを使ってできることがあると思っています。テレビがあって、PRがあって、その下にソーシャルがあるといった考え方ではなく、ソーシャルで話題になったことがテレビやPRに繋がっていくといった展開の仕方もあるはずです。それくらいの力のあるアカウントになっていると自負していますので、従来とは違う流れや風をソーシャルから起こしていければと思います。
山本:私たちとしても、ベースは丸亀製麺様の考えと同じです。その上で、これほど大きな規模でソーシャル施策を行えるブランドさんは、日本でも数えるほどしかありません。だからこそ、良かった施策も悪かった施策もしっかり可視化して、成果と再現性を追求し、小西さんのお話にあったようなムーブメントを起こす源泉を作っていきたいですね。