日本テレビがTikTokの活用に力を入れる理由
MarkeZine編集部(以下、MZ):日本テレビは、2023年3月に縦型ショートドラマ専用のTikTok公式アカウント「毎日はにかむ僕たちは。」を立ち上げるなど、TikTokでのコンテンツ発信に力を入れている印象があります。なぜTikTokの活用を推進しているのでしょうか。
井上:地上波テレビの視聴者数は年々減少傾向にあります。TVerや各種動画配信サービスを通じてテレビ番組を視聴する習慣も浸透しつつありますが、地上波テレビを見ない層にテレビ局のコンテンツをリーチする取り組みはまだまだ必要です。
その中でTikTokは、今一番テレビのコンテンツと相性の良いプラットフォームだと考えています。TikTokユーザーの多くはおすすめフィードをスワイプし、精度の高いレコメンドシステムを通じて自身の興味・関心に沿った動画を能動的に見ています。このコンテンツを最適な人・タイミングで届けられる仕組みが整っているところが素晴らしいと考えています。
社内での注目度は年々高まっており、番組のプロデューサーから「TikTokを活用したい」と相談を受けるケースも増えています。
MZ:TikTokとテレビコンテンツの相性が良い理由について、TikTok for Businessではどう考えていますか。
牛島:TikTokとテレビコンテンツの相性が良い前提には、TikTokユーザーの視聴態度があります。ユーザーは「おすすめ」フィードを見るとき、最新の流行りや新たに惹かれるものに出会いたいという気持ちで見ています。そういったモチベーションを持つユーザーにとって、テレビのプロコンテンツは非常にエンタメ性が高く、魅力的で注目する対象となります。
また、博報堂DYメディアパートナーズの調査では、テレビ番組の視聴率とTikTokに投稿されている番組関連動画の視聴数との相関関係について分析し、20代~40代の男女で曜日・時間帯を問わず相関が高いことがわかりました。そのため、メディアの皆様がTikTok公式アカウントや広告を通じて情報を発信していくことは効果的なのです。
TikTokを長時間視聴し、ユーザーに求められるコンテンツを理解
MZ:井上さんがTikTokを活用する際に気を付けている点はありますか。
井上:まず、自分たちが伝えたいことよりも、ユーザーが見たくなるコンテンツを作ることです。ユーザーが現在求めているコンテンツの傾向を探るために、十分に時間をかけてTikTokのコンテンツを視聴しています。
また、動画を企画・制作する場面では、スマートフォンでの視聴を想定して作業を進めています。テレビのコンテンツと違い、TikTokのコンテンツは常にBGMが流れながら映像コンテンツが展開されていきます。そのため音楽や効果音に合わせて動画が展開されるような編集を意識しています。
その他にも最初の2秒にフックを作る、時間当たりの情報量を高めに設定するなど、テレビとは異なるコンテンツ作りのポイントを取り入れています。