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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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データで読み解く

YouTubeでファッションチャンネルを見ているのはどんな人? 価値観や購買実態を探る

 ファッションの情報源が、テレビ・雑誌から、SNS・動画配信サービスへと変わりつつある。YouTubeにはファッションを紹介する様々なチャンネルが存在し、日々新しい動画が投稿されている。チャンネルの形式としてもインフルエンサーが購入したものを紹介するチャンネルや、流行や着こなしのコツを紹介するチャンネルなど様々だ。そこで今回の「データで読み解く」では、YouTubeチャンネルの登録者や視聴者の細かな属性や興味・関心事、そして消費傾向が把握できる「FanDataBase」と、所有/嗜好ブランドや価値観、メディア接触などを蓄積し、ユーザーのライフスタイルをペルソナ化する「ブランドデータバンク」を使って、ファッションチャンネルに関心の高い層の特徴を明らかにする。

ファッションチャンネル登録者の基本属性、特徴は「女子大生」

 ファッションに関係するYouTubeチャンネルに登録している人を「ファッションチャンネル登録者(1,399人)」と定義し、特徴を確認していく。

 最初に「ファッションチャンネル登録者」の基本属性の特徴を確認していく(図1)。YouTubeを利用していない人も含めた「一般消費者(以下、一般)」と比較することで、「ファッションチャンネル登録者」の特徴を探った。

 ファッションチャンネル登録者の性別は、一般よりも女性が約16ポイント高く、年代は10~20代、特に20代の割合が約18ポイントも高い。職業は「学生」が多く、内訳は「大学生・大学院生」が60%と、一般より19ポイントも高い。このことから、ファッションチャンネル登録者は「女子大生」がメインと考えられる。

【図1】YouTubeチャンネル登録者の基本属性(一般消費者とファッションチャンネル登録者の比較)
【図1】YouTubeチャンネル登録者の基本属性(一般消費者とファッションチャンネル登録者の比較)

 次に、「お金事情」を探っていく(図2)。

 「世帯年収」の平均は614万円と一般よりも9万円ほど高く、一方で「個人年収」は平均294万円と一般よりも46万円も低い。学生で親の扶養に入っている人が多いのだろう。また、「1ヵ月に自由に使える金額」は平均3.9万円と一般よりも2,400円高かった。これは、比較的お金に余裕がある家庭であり、月の生活で困らないくらいのお小遣いがある人が多いことによる傾向ではないかと考えられる。

【図2】世帯・個人年収と1ヵ月に自由に使える金額
【図2】世帯・個人年収と1ヵ月に自由に使える金額

情報収集はYouTubeとInstagramがメイン

 続いて、1日あたりのメディアなどの利用時間から、メディア接触や情報収集の傾向を把握していく(図3)。

 メディアについては、「SNS・コミュニケーションツール(X、Facebook、Instagram、LINE、TikTokなど)」が平均111分と一般よりも47分長い。続いて「ネット動画(YouTube、Netflix、Amazonプライム・ビデオなど)」が平均117分とこちらも一般より42分長い。

 反対に、一般よりも利用時間が短いものとして目立つのがテレビ、特に「テレビ(リアルタイム)」だ。平均58分と23分も短い。よく、若者のテレビ離れといった言葉を耳にすることもあるように、ファッションチャンネル登録者も普段からSNSやネット動画の利用がメインであることがわかる。

 続いて、サービスやSNSの利用時間のグラフ(図3)を見ていくと、「YouTube」が106分と一般より41分長く、「Instagram」も46分と一般よりも22分長い。「X(旧Twitter)」「LINE」、「TikTok」も同じ傾向だ。このように、ファッションチャンネル登録者は、YouTubeやInstagramなどでファッション情報やそもそもの興味・関心事を調べ、情報収集を行っているのではないか、と推測できる。

【図3】メディアやSNSの1日当たりの利用時間
【図3】メディアやSNSの1日当たりの利用時間

 ファッション以外では、どのようなことに興味・関心が高いのだろうか(図4)。

 一般との差分を調べると、ファッションチャンネル登録者ということもあり、「ファッション」が最多だった。次に「コスメ」「ダイエット」と続く。図4のピンクで示す通り、ファッションや身だしなみに関する項目が上位に挙がった。それ以外では、緑色で示す「料理・レシピ」や「音楽」、「買い物(ショッピング)」などが、一般よりも興味・関心が高い。

【図4】ファッションチャンネル登録者の興味・関心事
【図4】ファッションチャンネル登録者の興味・関心事
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この記事の著者

石丸 悠太郎(イシマル ユウタロウ)

株式会社マクロミル 
デジタルマーケティング本部 テクノロジー&デジタルプロダクツ部 
データアナリスト

 大学院では情報科学を専攻し、ID-POS、移動データを用いた店舗内回遊モデルの構築とマーケティングへの応用を研究。アナリストとしてプロダクト企画部門に所属し、データサイエンスを活用した分析ソリ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/12/12 09:30 https://markezine.jp/article/detail/44240

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