生成AIは対立相手ではなく「Co-pilot(副操縦士)」だと捉える
藤平:清水さん、お久しぶりです。今日はよろしくお願いします。
清水:よろしくお願いします。
藤平:アイスブレイク的に話し始めますが、この間、クリエイティブディレクターの先輩方と食事をする機会があったんです。そこで、「クリエイティブディレクターの仕事もAIに代替されるのではないか」という話題になったんですよね。個人的には「ああ、みなさんそう思われているんだなあ」とちょっと意外で。
清水:キャリアを積んだクリエイティブディレクターでもそう思っているということですね。
藤平:そうなんです。前提として、たとえば、レファレンスの収集・英訳・合成といった部分の代替は当然すべきだと考えていて、ポイントは「ディレクションすら代替されるのではないか」という話だと思います。作業的な部分の代替を超えて、「ストラテジー×クリエイティブのディレクションや意思決定・発想といった領域における、人間とAIの関係性、役割分担はどうなっていくのか」というのが、今日清水さんとお話ししてみたかったテーマです。
清水:まず深く共感するのは、代替されてよいところも当然あるということです。アドビでは、「AIはあくまでCo-pilot(副操縦士)である」という風に考えていて。人間がコントロールしながら、代替されたほうがよいところをAIに代替してもらうという考え方が基本にあります。
今、各社から提供されている生成AIもこれから技術的なアップデートが進んでいくだろうとは思いますが、生成AIを人間が使う時の根本的な考え方やコンセプトについては、もうベースができあがっているように思いますね。
藤平:「AIはCo-pilot(副操縦士)である」というコンセプトは素晴らしいですね。対立関係でも主従関係でもない、相互補完の関係をキャッチ―に言い当てていると感じました。
清水:そうですね、技術的な機能アップデートは使い手として楽しみつつ、生成AIというものをいかに活用していくか、増えていく使い方のバリエーションをどれだけ学んでいけるか、という話になっていくのではないかなと感じています。
藤平:それはつまり、これからのクリエイターには、もっと言うと人間には、「Co-pilotとしての生成AIを使いこなす能力」が求められてくるということだと感じたのですが、それってスキルなんでしょうか、それともセンスなのでしょうか?
清水:どちらも、なのかもしれないですね。「生成AIへの接し方」自体にはセンスが出るように思いますし、一方で「使いこなし方」はスキル性が高いように思います。最近は、生成AIの活用方法をテーマにしたオンラインスクールやセミナーも活況していますが、そういった機会で学べる「効果的なプロンプトの入力方法」などは、まさに「使いこなし方」としてのスキルセットであると言えそうです。