あらゆるプロダクトから行動データをストック まるで“仮想CDP”に
MZ:広告・販促・CRMなど様々な領域で日頃利用されている貴社のプロダクトは、今後どのように連携されるのでしょうか。統合後初のカンファレンスにおいて特に目玉となっていた「Connect One」構想を中心に具体的な活用イメージをお教えいただけますか?
二木:「Connect One」構想は、LINEヤフーの持つオンライン/オフラインのタッチポイントを、LINE公式アカウントを中心に一つにつなげ、集客から販売、CRMまで一気通貫でマーケティングをサポートしていく構想です。

二木:そのメリットを簡単に言えば、これまでのあらゆるフロー型のプロダクトが、ストック型になっていくこと。一度打って終わりのアプローチではなく、各タッチポイントでLINE公式アカウントとの友だち化・フォロー化を促し、蓄積される行動データによってユーザーの解像度を高められるようにし、LTVの向上を支援します。そのために、LINEとヤフーのユーザーのアカウントを連携させるだけでなく、企業側のユーザープロダクトのアカウント統合も進めていきます。
まずは統合マーケティング分析環境をリリースして前述のようなユーザーの見える化を支援する予定ですが、その分析結果も使えないと意味がありません。同時に、Yahoo!検索のオーディエンスをディスプレイ広告やLINE公式アカウントで使えるような環境を準備中です。
さらに2024年度中にLINEヤフーのアカウントとPayPayのアカウントが連携していくため、オンラインとオフラインの行動が接続されます。広告プロダクト、決済のデータに加えて、Yahoo!ショッピングやYahoo!地図、LINEミニアプリなど、対象となるデータは拡張予定です。

二木:その結果、日常で購買するユーザーに対して、「どんな検索をした」「どこの店で予約/注文した」「オンライン/オフラインで購買した」と多面的でつながりのある行動が1ユーザー単位でわかるようになります。各企業にとって“仮想CDP”に近いものですね。企業はプロダクトを活用すればするほどデータが蓄積され、CRMの観点でも企画開発や戦略策定でも基盤になる。そんな体験が可能性ではなく、現実になるプラットフォームです。
行動の前後文脈を知ればマーケティングが変わる
池端:従来でも、たとえばAさんという顧客が「最初に何を買ったか」「購入額はいくらだったのか」「どんな情報を経由して店舗やサイトに来てくれたのか」という点は気にされてきたと思います。しかし、その前後にある行動の文脈は見えていないがゆえに気にされていませんでした。
購買の前にされていた検索の内容や広告に触れる前にしていた行動まで見えてくると、潜在顧客として探すべき人や、これまでのアプローチの前段階として生み出すべき状況まで見えてくる。我々のCMS上に表現するデータを参照しながらディスカッションをすれば、それまでのマーケティングファネルの捉え方やコミュニケーションの設計方法をもう一度見つめ直す機会になると思います。

二木:各社が持つ自社の会員データとの連携も強化していき、LINEヤフーのアカウントと自社の会員アカウントの連携をすることで、顧客データベースが強化され、ライトユーザーの獲得からロイヤル化まで一連のアプローチが各ユーザーの実状に沿って行いやすくなるでしょう。そのためのクリーンルームをはじめとするデータ連携プラットフォームについても現在順次提供を始めています。