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商品やサービスの価値を最大化し事業を成長させる「ベネフィット設計」とは?

「アウトドアスパイスほりにし」はなぜ売れた?商品価値の最大化に不可欠な「ベネフィット設計」

「よくわからない技術」の価値を見つける方法とは?

 革新的な技術はその機能性自体を大々的にアピールしたくなるものです。しかし、営業での半信半疑の声を受けて、私はAIRのベネフィットを設計するために、数ある美容室の中でも「スキル向上意欲が高く、最新テクノロジーへの関心が深い美容師がいる有名美容室」をターゲットとして狙いを定めました。

 ターゲットとなる美容室の方々は、お客様の満足度向上に真摯に向き合っており、店舗数はコンビニの数を超えるという美容室業界で、これまでのサービスに縛られない新しい美容室のあり方を構築したいと考えていました。

 そこでAIRの「髪や地肌に水分を補給できる」というメリットを、ターゲット向けに「美容室は、髪と地肌をいたわる場所へ。」というベネフィットに設計しました。

 このベネフィットで、美容室はお客様のヘアスタイルを作るだけの場所ではなく、AIRによってお客様の髪や地肌をいたわれる新たな場所へと進化していくこと。また、髪や地肌をいたわることができれば、お客様がカラーやパーマを行う際の髪へのダメージや頭皮の痛みへの心理的不安を軽減することができ、もっと気軽にスタイルチェンジが楽しめるようになることを訴求しました。

 この訴求はターゲットとなる美容師の心を捉え、有名美容室が立て続けに導入を決めてくれることとなりました。有名美容室が導入してくれたことで実績ができ、実績を武器に営業することで導入美容室の数は増え続けています。

 現在、AIRは美容分野の他にも医療分野やバイオ分野でも活用が期待されています。それは、早い段階でビジネス化に漕ぎつけ、事業を存続させられたことで研究開発を続けることができたためです。AIRの事例は、ベネフィット設計が事業の存続・成長を支えた象徴的なものとなっています。

ベネフィット設計力のあるマーケターは、経営に貢献できる

 ここまで、ベネフィット設計が商品の寿命を変え、事業の存続・成長を支えることを解説してきました。商品価格以上の価値を定義し購入してもらえる状況を作ることで、事業は継続的に収益を生み出すことができます。これは不確実性の高い時代に企業の収益に貢献できるという意味で、経営にもインパクトをもたらすのです。

 また、ベネフィット設計は商品の価値定義だけではなく、今回紹介したAIRのような技術の価値定義にも有効であることが私の活動からも見えてきています。コンシューマー向けの商品だけでなく、企業間での商材の取引を進める際にも有効な技術のため、幅広いマーケターの役に立つことを期待します。

 今回はベネフィット設計の概要と重要性について触れました。次回は、ベネフィット設計の具体的なポイントやプロセスについて解説していきます。

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商品やサービスの価値を最大化し事業を成長させる「ベネフィット設計」とは?連載記事一覧
この記事の著者

北原 成憲(キタハラ マサノリ)

株式会社マクアケ 専門性執行役員/R&Dプロデューサー

 サイバーエージェントを経て、2015年にマクアケへ入社。「Makuake Incubation Studio(MIS)」を立ち上げ、企業の研究開発(R&D)を起点にした新商品プロデュースや、新規事業創出のための新たな仕組みづくりに従事。手...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/01/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/44422

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