既存の概念をとうに超えた「新ウォールド・ガーデン」
最後に、Activision Blizzardの買収完了時に即時公表されたリリースの和訳を抜粋掲載する。過去の理論と経済合理性を越えた向こう側のナニカがある雰囲気だ。
私たちは、すべての人が最高の仕事ができるように力を与え、すべての人を歓迎し、「Gaming for Everyone(すべての人にゲームを)」という私たちの継続的なコミットメントを中心に据えた企業文化の中で、これを実現します。
「身近なゲームだと思って親しみを持って利用し、Microsoftのアカウントを開いていたら、Microsoftのクラウドが自然と仕事や生活の一部になっていた」などのストーリーは、想定の範囲内だ。筆者が妄想している未来概念の「ゲーム」は、「教育」の領域にも現れてくる。ゲームを入り口にオンラインの世界に自然に慣れ親しんだ子供たちが、切り拓いていく未来とはどのようなものだろうか。Microsoftが10兆円を投げ打ってまで見せてくれようとしている世界は、筆者の妄想のさらに先にある。
そんな新ウォールド・ガーデンへ、Microsoftは「Office365」や「Teams」などの具体的な入り口だけでなく、ChatGPTのような生成系AIとコンビを組んで誘いに来ると考えるのはいかがか。
ところが、この入り口には「法や倫理の壁」がうっすらと広く連なっている。「最高の仕事」を実現させるために登るべき山がある(リスクがある)ことも付記しておく。