なぜSNSキャンペーンは単発で終わってしまうのか?
SNSキャンペーンの有効性については理解できたものの、施策が単発で終わってしまうことに悩む担当者は多いだろう。キャンペーンを通じてデータを蓄積し、長期的なCRMに役立てることはできるはずだ。しかしながら、多くの企業が実行に至っていない。白圡氏は実行を阻む要因として、次の3点を挙げる。
1.活用方法を考えずにデータを収集してしまうため、使える形にできない
2.データがどこにあるかわからないため、アクセスできない
3.CRMツールを導入しただけで、活用可能なデータを収集できていない
LINEを起点に開発されたユニークビジョンのCRMツール「Beluga CRM」には、これらの壁をクリアする特徴がある。キャンペーンを通じて属性データやアンケートデータを自動で蓄積。アンケート項目がマスター化されるため集計や分析がしやすく、分析結果をセグメントとして保存することも可能だ。セグメントごとにメッセージの出し分けや付与ポイント数の変更なども行える。
CRMに注力する場合、コストの問題を避けて通ることはできないだろう。投資予算が年間数千万円以上かかる場合もあるからだ。その点、Beluga CRMはキャンペーンの実施から1年間は無料で使用できる(データのインポート/エクスポートやメッセージ配信には別途費用が発生)。1年後に別のキャンペーンを実施すれば、実質0円で使い続けることも可能。メッセージを全配信ではなく、購入履歴やイベント参加データに基づいてターゲティング配信する点も、コストの削減につながる。
「ただ、LINEだけでキャンペーンを完結してしまうと、企業と生活者の1対1のコミュニケーションになってしまい、おもしろみに欠けます。キャンペーンをXで拡散し、盛り上がっている状態をつくることも大事です」(白圡氏)
CRMを成功に導く四つのポイント
SNSを活用したCRMで顧客と継続的な関係性を築くためのポイントとして、白圡氏は次の四つを挙げる。
1.ブランド体験の多様化
2.顧客接点の増加
3.データ活用ループの構築
4.既存CRM/CDPとの連携
XやLINEだけでなく、InstagramやTikTokなど、幅広いメディアでブランド体験を継続的に提供すること。さらに、リアルイベントやリテールメディア、テレビなどとSNSを絡めてキャンペーンを実施し、情報の拡散やユニークなID付きのリスト作成を行うこと。そこで終わらず、リストの分析や活用までを含めたループを回すこと。最後に、既存のCRMツールやCDPとの連携を行うことが重要との考えだ。
現在ユニークビジョンはADKマーケティング・ソリューションズと協業し「ADK-SPer(エーディーケー エスパー)」というSNS販促集客ソリューションを提供している。LINEの公式アカウントを軸に、集客とCRMを支援するものだ。
ADKマーケティング・ソリューションズの清家氏は、協業の経緯を次のように語る。
「当社には、認知の獲得から顧客のファン化までをトータルで支援する事業ブランド『ADK CONNECT』があります。CRMに力を入れているユニークビジョンとは非常に近い考え方を持っていると感じ、ソリューションを共同開発した流れです」(清家氏)