ポイント3:寄り添い
クライアントの成功に向かって伴走し、共に成功をおさめるのがコンサルタントの最終目的です。クライアントの課題や問題を、同じ立場・レベルで理解し、解決に導いてくれるコンサルタントが、クライアントに信頼される伴走者だと思います。
よき伴走者になるために私が日ごろから意識しているのは、「相手のキャラクターに合わせること」「クライアント企業内の組織・序列を考慮すること」の2つ。このポイントは資料作りにおいても活かせます。
1.相手のキャラクターに合わせる
資料に求めることは、人によって異なります。特に、決裁者のキャラクターや性格を把握し、相手が求めているであろうことを資料に落とし込んでいく柔軟な対応は、伴走者としてコンサルタントに求められる心配りです。
たとえば、受け手のキャラクターに応じて、以下のような工夫ができます。
■せっかちな方→結論から話す
■ていねいな説明を求める方→気になるであろう背景情報を資料に入れておく。プレゼンの前後においてもメールや電話などで細かくコミュニケーションをとる
クライアントのキャラクターを知るためには下調べが肝心です。プレゼンの場で初めてお会いする場合は、公開されているインタビュー記事などを見て、身なりや話し方からキャラクターを想像することも有効だと思います。どうしても具体的なキャラクターが掴めない場合は、いつも以上にていねいに資料を作っておくと安心でしょう。
2.クライアント企業内の組織・序列を考慮する
自分がクライアント社内の人間かのように、その組織の構造や序列を理解しておくことも重要です。クライアント社内の状況がわかると、資料の構成や見せ方、説明の進め方も変わってきます。
たとえば、最終アウトプットを共有する場のみに参加する決裁者に向けた資料には、前置きとしてこれまでのプロジェクトの経緯を加えます。本題に入る前に、参加者全員で前提を揃えられるので、その後の議論がスムーズになります。
資料作成で参考になるおすすめの書籍3冊
最後に、私が資料作成において参考にしている書籍をご紹介します。
『外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック』
「ケースごとにどのフォーマットを使うべきか」がまとめられているので、実際に資料を作成するタイミングで一番使っている本です。

『ハーバード・ビジネス・レビュー流 データビジュアライゼーション (Harvard Business Review Press) 』
「何を見せたいか?」と言う起点で、どういった場合にどのグラフを使うべきかについて、基本のグラフの考え方を分岐で整理・解説されており、基本に立ち返り、この資料を見るためによく手に取ります。表紙に記載されている画像もわかりやすいです。

『イシューからはじめよ――知的財産の「シンプルな本質」』
この本には、よいイシュー(本当に取り組むべき課題)の条件が記載されています。本書で紹介されているものの中で、私が特に意識しているのが、驚きを与える示唆や解釈を提示するためのポイントでも解説した「本質的な選択である」「深い仮説がある」の2点です。

また、書籍ではありませんが、「コンサルファーム 資料」のように検索すると、公開されている各種コンサルティングファームの資料がたくさん出てきます。最終アウトプットを考える上で非常に参考になるのでおすすめです。
優れた資料は、クライアントの意思決定やアクションを推進する可能性を秘めています。今回は、明日から実践できるようなノウハウをご紹介しました。ぜひできるところから取り入れて、クライアントの心を掴む資料を作成してみてください。