何となく描いたペルソナで広告制作の効率は上がらない
──メディケア生命ではマーケティングを進めるにあたり、どのような課題があったのでしょうか。
石垣(メディケア生命):ターゲット像の把握に課題を抱えていました。加入者の属性を踏まえて、何となく「こんな方かな」とイメージするにとどまり、ペルソナを明確に設定したことがなかったのです。そのため、Web広告のバナーやLPなどのクリエイティブを制作する際に、我々のチームと制作チームの間で認識のずれが発生し、思うようなスピードで制作が進まないこともありました。
川村(メディケア生命):外部委託先の制作会社とは、私と本島がフロントに立ってやりとりしているのですが「どのような人に向けたクリエイティブを制作してほしいか」がクリアになれば、よりスムーズに調整ができそうだと感じていました。
──課題を解決するために、三井住友カードの「Custella Research」を活用したそうですね。MarkeZineではたびたび「Custella Analytics」の活用事例を取り上げてきましたが、両者はどう違うのでしょうか。
村上(三井住友カード):Custella Analyticsが当社の保有するキャッシュレスデータを用いて分析を行うのに対し、Custella Researchではキャッシュレスデータにアンケートデータを掛け合わせて分析を行います。キャッシュレスデータの強みは「いつ、どこで、誰が、何に、いくら消費しているか」を明らかにできることです。ただ、保険商材の場合は加入者のニーズや背景が多岐にわたります。「どのような判断材料や比較軸で加入先を決めるか」を明らかにするためには、アンケートを通じて得られる意識のデータが有効なのです。Custella Researchでは三井住友カードの会員がアンケートに回答しているため、属性・行動・意識を網羅したデータの分析を可能にします。
競合利用も含めた消費データ×定性データが魅力
──数ある調査分析サービスの中から、Custella Researchを選んだ決め手はどこにありますか。
石垣(メディケア生命):他社利用のデータも含めて深い分析ができる点です。自社の加入者を対象にアンケートを実施すれば、ある程度のペルソナは浮かび上がるかもしれません。しかしながら「他社にはない自社ならではの特徴」まで掴むことは難しいと思います。加えて、キャッシュレスデータを活用できる点も決め手でした。決済データを用いない調査・分析ツールの場合、ふわっとした示唆しか得られない懸念があったからです。定性データ×実消費データによる分析が可能なCustella Researchなら、ペルソナがはっきりと浮かび上がってくる期待がありました。
──メディケア生命に提案した分析プランの全体像をお話しください。
村上(三井住友カード):メディケア生命様の加入者だけでなく、他社の加入者も分析の対象とすることで、保険加入者のニーズや比較検討軸を明らかにするプランをご提案しました。その点が明らかになれば、メディケア生命様がマーケティングで注力すべき人やチャネルがわかると考えたためです。三井住友カードの会員向けに実施したアンケートの質問項目は、そのようなアウトプットにつなげることを意識して設計しました。
宮崎(三井住友カード):第一ステップでは市場を理解するべく、キャッシュレスデータを用いて保険加入者全体の分析を行いました。第二ステップでは企業規模および加入チャネルに応じて保険会社を5つのグループに分類し、競合比較を実施。メディケア生命の加入者に見られる特徴を明らかにしました。第三ステップでは分析対象を「メディケア生命の加入者」に絞り、キャッシュレスデータで属性・行動の捕捉を、アンケートデータで意識の深掘りを行い、ペルソナ像を描きました。