乗り換え?経済不安の解消?加入目的に鍵
──分析の結果、得られた示唆を教えてください。
宮崎(三井住友カード):第一ステップでは、保険に加入している方が50~60代の高年齢層であることがわかりました。日頃から健康食品などへの消費傾向が強く、当社の会員全体と比べて平均年収が高い点も特徴です。
宮崎(三井住友カード):第二ステップと第三ステップでは、メディケア生命様の特徴がはっきりと浮かび上がりました。まずは加入者における若年層の多さです。他のグループと比較すると、圧倒的な差が見られました。また、加入の決め手として「安さ」や「わかりやすさ」を挙げた方が多く、商材のコストパフォーマンスがメディケア生命様の強みであることを物語っています。加入チャネルで「保険代理店」に強みを持つ点も特徴的です。
加入の目的にもメディケア生命様ならではの特徴が見られました。「保険契約の乗り換え」「経済的な不安の解消」「ライフイベントの発生」を挙げる方が特に多かったのです。これらの動機を持つ方がメディケア生命様の有望なターゲットになると考え、加入者を目的別に分けた上で定性/定量の両面から深掘りをしてみました。
深掘りした結果「保険契約の乗り換え」を目的に、主に50~60代の男性がメディケア生命様で保険に加入していることがわかりました。過去に加入した保険の料金や内容に満足できなくなった方が、乗り換えを検討した末、加入に至っているようです。この方々が重視するポイントの一つに「一定の保険料」が挙げられます。メディケア生命様の商材は、加入時から保険料が上がりません。歳を重ねて今後の健康状態を案じる50~60代の男性が、この点に魅力を感じて選んでいるのです。加入先を検討する際、主に保険の販売代理店やカタログの情報を参照している傾向も見られました。
さらにキャッシュレスデータを基に、日頃の消費行動も分析してみました。健康関連やゴルフ関連の消費に加え、レンタカーやガソリンスタンドの利用傾向から「車でゴルフ場に行き、日常的に体を動かす」「健康意識が高く、定期健診を受けつつ自己管理もする」などの行動様式が浮かび上がってきたのです。
アンケートの回答率が高かったワケ
宮崎(三井住友カード):一方「経済的な不安の解消」を目的に加入する層では、子育てをする30代男性のボリュームが大きかったです。キャッシュレスデータを紐解くと、学校や塾関連の消費が見られました。フリマサイトの利用や貯蓄型積み立てサービスでの決済もあったことから、子育てをしながら節約する人物像が見て取れます。この方々が保険商材を選ぶ際に重視するポイントは「安さ」です。メディケア生命様で保険に加入した背景にも、家計の見直しや将来に備える意識があるのでしょう。また、保険契約の乗り換えを目的とするグループとは異なり、保険会社のWebサイトを見て比較検討する方が多いこともわかりました。
──分析結果を受けていかがでしたか。
川村(メディケア生命):普段から自社の資料請求や申し込みのデータを見ているため、加入者の年齢層や性別については概ね予想どおりでした。代理店経由で加入する方が多いことも把握していましたが、代理店経由で加入する方とWebサイト経由で加入する方の行動様式や嗜好の違いを意識したことはなかったため、勉強になりました。
──ここまで精緻な示唆が得られた要因はどこにあったのでしょうか。
宮崎(三井住友カード):アンケートの設計にあると考えています。設計にあたっては、メディケア生命様が知りたいことを回答者の負担にならない質問数で引き出す必要があります。「この回答項目で抜け漏れはないか」「知りたいことは網羅されているか」など、メディケア生命様と何度も点検を重ねた結果、今回は全16の質問項目で保険加入者の意識を明らかにすることができました。
村上(三井住友カード):Custella Researchの良いところは、属性などの基本情報はもちろん、日常の消費行動をアンケートで聞き出さずともキャッシュレスデータで捕捉できる点にあります。意識に関する質問のみにフォーカスできるため、回答率を損なわずにアンケートを実施することができるのです。今回は約30万通のアンケートに対し、回答率が約2%でした。属性や消費行動までアンケートで聞いていた場合、途中で離脱してしまう人が発生し、ここまでの回答率は出せなかったと思います。