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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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行動データから潜在層を発掘しブランドリフトに成功!オルビスが実践した、コンテキストターゲティング

 世の中のデジタルシフトに伴い、従来のブランディング活動だけでは生活者と接点を持ちづらくなっている。また生活者との新しい接点・コミュニケーションを考える上で、プライバシーの保護の観点からクッキーレスは避けて通れない段階に入ってきた。こうした中、注目されているのがコンテキストターゲティングだ。本記事は、オルビスが進める「オルビスユー ドット」のブランディングにおけるコンテキストターゲティング活用事例を紹介。オルビス株式会社と支援にあたったUNICORN株式会社の担当者に、同施策のメリットや課題、それを踏まえた今後の展望などが語られた。

従来のデジタルマーケティングが通用しない

MarkeZine編集部(以下、MZ):まず自己紹介をお願いします。

鈴木:オルビスに新卒入社して以来、マーケティングに携わってきました。新規顧客獲得広告関連の担当を経て、現在はPR・ファネル戦略グループのファネル戦略担当マネジャーとして、主にトップ~ミドルファネル領域の施策全般を担当しています。

今泉:私はUNICORNの親会社であるアドウェイズに新卒入社し、主に美容関連商品のマーケティング支援に従事していました。アドウェイズを退職し、他社でブランディング広告に関する業務を経験後、UNICORNにジョイン。現在はリードマーケティングコンサルタントとして、広告主様に対して全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN」を活用した支援を行っています。

田井:2022年、UNICORNに新卒一期生として入社しました。入社後の一年間、広告運用を担当していましたが、徐々にPR業務にも携わるように。現在はPR活動をメインに担当しています。

MZ:現在のデジタルマーケティングの流れや変化をどのように見ていらっしゃいますか。

鈴木:認知施策に関しては「こう発信していけば獲得につながる」といった王道が通用しなくなりつつあると感じています。

 背景には、コロナ禍を経て生活者の消費行動の多様化が進んだことがあるでしょう。「美容に興味関心がある人は、このような行動をする」とひとくくりで捉えられなくなったため、認知から獲得までの線を引くことが難しくなっています。

オルビス株式会社 PR・ファネル戦略グループ ファネル戦略担当マネジャー 鈴木ありさ氏
オルビス株式会社 PR・ファネル戦略グループ ファネル戦略担当マネジャー 鈴木ありさ氏

今泉:「クッキーレス時代の本格化」もキーワードとして挙げられます。2024年後半にはAppleやGoogleがクッキーを制限する予定であることから、「これからどうすれば良いのか」「代替手段を探したい、試したい」といった広告主様からの相談が増えてきていますね。

「オルビスユー ドット」のブランディング戦略

MZ:今回ご紹介いただくオルビスの「オルビスユー ドット」について、ブランドの概要や商品の特徴を教えてください。

鈴木:同シリーズはオルビス最高峰(※1)のエイジングケア(※2)シリーズです。「ハリも透明感(※3)も結果主義」をコンセプトに掲げており、年齢とともに深刻化する肌の悩みに向き合える商品となっています。

※1:オルビス内スキンケアシリーズの保湿力、※2:年齢に応じたお手入れのこと、※3:うるおいによる

MZ:「オルビスユー ドット」では、どのようなブランディングを行っているのでしょうか。

鈴木:商品認知拡大を目的としており、リニューアルの際には5年ぶりに全国でのテレビCM放映を行いました。またWeb動画配信や雑誌・各SNSのタイアップなどを活用しながら、フルファネルでプロモーションを展開しました。

認知施策が持つ「曖昧さ」を解消し、次につながる認知施策を

MZ:オルビスは「オルビスユー ドット」のWebでのブランディングにおいて、UNICORNの「コンテキストターゲティング」を実施したと伺っています。背景をお聞かせください。

鈴木:課題として感じていたのは認知施策が持つ「曖昧さ」です。

 オルビスのWeb動画の出稿先はSNSが中心であったため、効率よく配信するためにターゲティングを狭めすぎないようにしていました。しかし、どのようなユーザーに深く届いたかなどの特徴がつかみにくく、後の戦略に活かしづらいと感じていました。

 UNICORN様とは「オルビスユー」のリニューアル時の認知施策でもご一緒し、実績を残すことができていたので、今回「オルビスユー ドット」でもタッグを組むことにしました。

MZ:UNICORNのコンテキストターゲティングとは、どのようなソリューションなのでしょうか。

今泉:弊社のコンテキストターゲティングは、ターゲティングごとにキーワード単位で細かく設定できます。興味関心などに合わせた広告配信に加え、配信コンテンツ内の文脈に沿った広告ターゲティングをクッキーに依存せず行います。

 過去の行動ではなく、そのコンテンツの文脈を正確に捉えるため、ユーザーのモチベーションが高まっているタイミングでリーチすることが可能です。

 特徴は、主に「プランニング」「デリバリー(広告配信)」「レポーティング」の3つの点にあります。まず「プランニング」は、ユーザーのWeb行動履歴データを活用しているため、カテゴリ配信といったざっくりしたものではなく、より精度の高い配信が可能です。

UNICORN株式会社 ブランドマーケティングディビジョン アカウントコンサルユニット リードマーケティングコンサルタント 今泉拓也氏
UNICORN株式会社
ブランドマーケティングディビジョン アカウントコンサルユニット
リードマーケティングコンサルタント 今泉拓也氏

今泉:次に「デリバリー」の部分は、日本語の自然言語解析を活用して、指定したキーワードを含むコンテンツを配信先ドメイン単位ではなく、ページ(URL)単位でスコアリングします。そしてスコアが高い順から配信するため、より親和性の高いページに配信することが可能です。

 そして「レポーティング」に関しては、UNICORNは「キーワードグループ×クリエイティブ」単位でも分析できます。そのため広告パフォーマンスの可視化やマーケティングアセットの蓄積につなげていただけます。

鈴木:UNICORN様のコンテキストターゲティングなら細かくターゲティングできるため、ブランドと相性の良いユーザーの特徴がわかります。「施策を打って終わり」ではなく、次の施策やクリエイティブの訴求に活かしやすいです。

オルビスが行った、コンテキストターゲティングとは

MZ:具体的にはどのようなターゲットに対してプロモーションしたのでしょうか。

田井:「美容関連」「ポテンシャル層向け」「行動データベース」という3つのカテゴリに分類。それぞれのカテゴリの中に、いくつかのグループを作成しました。グループの中には数十個のキーワードを設定・ターゲティングを行って広告を配信していった形です。

 そしてグループごとにブランドリフトサーベイ(以下、BLS)を実施。どのグループがブランドリフトに寄与したかを細かく可視化しました。

 UNICORN株式会社<br />ブランドマーケティングディビジョン PR担当 田井花佳氏
UNICORN株式会社
ブランドマーケティングディビジョン PR担当 田井花佳氏

田井:「行動データベース」とは、「オルビスユー ドット」の機能である「エイジングケア」と一緒に検索されているキーワードを集めたグループです。エイジングケアについて検索しているユーザーが、ほかにどのようなことを検索しているかを、独自の行動データベースを活用し下記の図のように拡張して算出。美容領域を超えた興味関心を発掘することができます。

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(クリック/タップで拡大)

MZ:今回の広告は「テキスト+15秒動画」のフォーマットで配信されました。動画に関してこだわった点はありますか。

鈴木:今回はフルファネルでプロモーションを実施したため、Webに特化したクリエイティブではなく、テレビCMと連動した素材を使ったことがポイントです。「テレビCMでも同じものを見た」と印象付けたい思いがありました。

認知度やブランドリフトが向上!新しいターゲットの発掘も

MZ:今回の施策によって、どのような結果が得られましたか。

鈴木:まず目標だった「オルビスユー ドット」の認知度の向上ができました。さらにBLSの結果、興味関心や利用意向の指標も想定以上にアップしていることも判明。これは細かくターゲティングしたことで相性の良いユーザーにリーチできた結果だと考えています。

 また、新しいターゲットの発掘もできました。今回、一番ブランドリフトが見られたのは、実は「行動データベース」のキーワードグループでした。私たちだけでは、どうしても美容関連のターゲットに重きを置いて配信することが多いのですが、データを活用したことによりオルビスとは一見関係が見られないユーザーの中にもターゲティングすべき人がいるとわかり、次に活かせる知見を得ることができました。

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美容関連カテゴリの各数値を1とした際、「利用経験」を除く項目で「行動データベースカテゴリ」の数値が最も高い結果となった(クリック/タップで拡大)

田井:認知施策では、配信前からターゲットを過度に絞り込んでいる広告主様が少なくありません。限られた予算を使うなら、効果を期待できるとわかっているターゲットに集中してあてたいと考えるのは筋が通っています。

 しかし、そのようなターゲットはほんの一部でしかなく、大半は広告でリーチしたことがないユーザーです。そのような方々に対して一切広告を配信せず効果を確かめないというのは、機会損失になるのではないでしょうか。

 UNICORNでは、Web上の膨大な行動データというエビデンスに基づいたキーワード作成をしたのちに、ターゲティング設計をしています。

鈴木:今回UNICORN様には、効果を出すための本質的なサポートをしていただけたと感じています。私たちが今まで考えなかったようなターゲットへの配信にアクセルを踏めたのは、エビデンスに基づいた設計とUNICORN様への信頼感があったからこそです。

 また、ご提案いただいたキーワードは配信前に確認でき、ブランドイメージに合わないものは配信しないようにお願いできたので、ブランドセーフティの面でも対策できました。

「点」ではなく「線」でブランディングを

MZ:最後に今後の展望や展開についてお話しください。

鈴木:新たなターゲットの発掘など、UNICORN様とタッグを組んだコンテキストターゲティングは多くのことを学べました。私たちとしては「これで終わり」にならないよう、今後も引き続き一緒に取り組んでいきたいと考えています。

 また、これまでブランディングと言うと、新商品の発売時など、いかにそのタイミングに合わせて盛り上がりを作れるかといった「点」で考えることが多かったです。今後は「線」で考え、知見を溜め、PDCAを回し、より効果的な結果を出していきたいですね。

今泉:消費者の行動の細分化が進み、複雑性が増していくこれからは、より本質的かつ柔軟なマーケティングが必要になってきます。今回お話ししたコンテキストターゲティングはその一つの手だてだと言えるでしょう。

 UNICORNとしては、たとえばBLSの調査コストを下げるために、下記のクリエイティブのように、ユーザーが気軽に広告やブランドを評価できるクリエイティブを配信することを考えています。このクリエイティブを活用することで、ブランドリフトに寄与したインプレッションを最大化する広告配信が可能となります。こういったシステム開発も進めながら、広告主様がより本質的な広告配信をできるよう取り組んでいきたいと思います。

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※こちらはオルビス商品ではありません

UNICORNでは、広告主や広告代理店が従来行ってきた“人による細かな運用や数値分析”に費やす時間を削減。“人にしか行えない業務”に専念できる環境を整えるとともに、マーケティング本来の目的である製品やサービスの売上拡大をミッションとして、ブランドマーケティング支援を行っております。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:UNICORN株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/02/15 10:00 https://markezine.jp/article/detail/44532