脳内補完×食欲を刺激する音の繰り返しで効果を高める
③「カルビーの~ポテトチップス♪」をリピートさせることで効果を高める
①でも述べましたが、パリッといこう篇では「カルビーの~」が2回リピートされた後に、フル尺の「カルビーの~ポテトチップス♪」が1回流れます。このことは、消費者が補完する「ポテトチップス♪」のメロディーと「パリッ」という効果音の組み合わせも繰り返されることを意味します。

脳内補完と聴覚刺激という立体的な情報のリピートによって内容理解が深まるのに加え、食欲を刺激する効果音のリピートは、購入意欲の喚起にもつながったと考えられます。効果音に対する消費者の自由回答を見てみましょう。
・ポテトチップスの「パリッ」という効果音から美味しさが伝わってくると思った(男性20代)
・パリッという音から、久々にポテトチップスを食べたくなった(女性30代)
・パリッとした食感が魅力的かつ印象的に強調されており、ポテトチップスを食べる楽しさが伝わってきた(男性30代)
・日本人なら誰しも馴染みがあるこの商品の売りは、やはりパリッとした食感であり、見ているだけで食欲がそそられてすぐにでも食べたくなりました(男性40代)
・ポテトチップを食べる時のパリッという音が凄く美味しそうに感じました(女性40代)
「パリッ」という音だけでポテトチップスの食感が想像され、購入を喚起していることが伝わります。【図1】の「購入・利用喚起度」でも、パリッといこう篇のスコアは58%で偏差値ランクはAを示しています。シズル感のある効果音の挿入はテレビCMでよく使われる手法ですが、リピートすることで「ポテトチップスを食べたい!買いたい!」という気持ちをさらに高めた結果、評価が高くなったと考えられます。重ね合わせた情報、そしてシズル感のある効果音のリピートも、クリエイティブ制作のヒントと言えるのではないでしょうか。
今回はカルビーのテレビCMを取り上げ、成功の要因を探ってみました。カルビーが培った資産とも言えるお馴染みのジングルをベースとしつつ、様々な仕掛けにより高評価を獲得していることがわかりました。特に食品系の企業でテレビCMの出稿を検討している読者の方は、今回の分析結果を参考にしてみてはいかがでしょうか。皆さんのマーケティング活動の参考になれば幸いです。
データソース:ビデオリサーチ「クリエイティブカルテ」
自社・他社問わずテレビCMやWEB動画広告の認知・クリエイティブ評価をワンストップパッケージでお届けする調査パッケージ。自社が希望する広告素材だけでなく、ビデオリサーチにて取得している6,000素材以上のストックデータからも条件に合う素材をピックアップ可能。
<調査概要>
・調査エリア:関東一都六県(に居住)
・対象者:男女15歳(中学生除く)~69歳
・サンプル数:540s
<調査項目>
・広告到達状況(GRPに対する広告認知状況)
・クリエイティブ評価(印象に残った要素/表現の受容性/メッセージの受容性)
・総合評価(広告自体の評価/商品・サービスへの貢献)
<調査素材数>
計6,108素材(2015年11月~2023年12月時点)