消費者を能動的に参加させる仕掛け
今回は、ビデオリサーチの動画広告評価サービス「クリエイティブカルテ」を用いて、カルビーのテレビCM「カルビーポテトチップス パリッといこう篇(以下、パリッといこう篇)」を分析します。川口春奈さんがソファーでくつろぎながらポテトチップスを食べているこのテレビCMを、見たことがある人も多いのではないでしょうか。
名称:カルビーポテトチップス パリッといこう篇
放送期間:2023年9月25日~2023年10月8日
秒数:15秒
出演タレント:川口春奈
ナレーション:カルビーの♪|やっぱり。|カルビーの♪|このパリ。|カルビーのポテトチップス♪|「パリッといこう。」|のりしおもね。
参考:カルビー公式YouTubeチャンネル
クリエイティブカルテを使って、このテレビCMに関するアンケートを行いました。その結果を見ていきましょう。
グレーの棒グラフは「お菓子・アイス」のテレビCM・動画広告クリエイティブが示した平均値です(2019年9月~2022年8月調査)。一方、赤の棒グラフはパリッといこう篇のスコアを示しています。各項目の下に記したアルファベットは、グレーのスコアを平均点とした場合の、パリッといこう篇の偏差値をランク分けしたものです。Sは偏差値70以上、Aは60~69、Bは50~59、Cは40~49、Dは39以下となります。
パリッといこう篇は、総合評価において9項目中8項目の偏差値がAランクでした。この結果から、高い評価を得たテレビCMであることがわかります。
クリエイティブカルテでは、テレビCMの中で印象に残った要素も聴取しました。すると、パリッといこう篇の「音楽・BGM・効果音」について、3割以上の人が「印象に残った」と回答。偏差値もAランクでした。
パリッといこう篇では「カルビーの~ポテトチップス♪」というお馴染みのジングルが使われています。1976年からカルビーのCMに使われているジングルです。思わず口ずさんでしまう人もいるでしょう。パリッといこう篇では、このジングルの使い方にポイントがあります。
ジングルに内包された3つの要素
①消費者を能動的にテレビCMに参加させる
②”情報を重ねて”より多くの情報を届けている
③「カルビーの~ポテトチップス♪」をリピートさせることで効果を高める
これら3つの要素がテレビCMをどのように際立たせ、効果を発揮しているのか。深掘りしていきます。
①消費者を能動的にテレビCMに参加させる
パリッといこう篇では「カルビーの~ポテトチップス♪」を「カルビーの~」で切っています。あえて途中で切ることにより、消費者を能動的にCMに参加させることにつながっているのです。
お馴染みのジングルだからこそ、多くの人は「カルビーの~」を聴くだけで無意識に「ポテトチップス♪」を脳内で再生してしまうでしょう。普段、私たちはテレビCMを受動的に見ていることが多いと思います。しかしながらパリッといこう篇では「カルビーの~」をフックとして「ポテトチップス♪」を能動的に想起させているのです。