あえて業務を絞ることで、結果の質を上げる
四つ目が結果の質の向上です。ただし、ここでいう結果の質は、達成度100%を目指すのではなく、結果を追求しすぎないことを意味します。
プロジェクトを実施する際に、目的を達成できるのかに重きを置くと、メンバーに負荷がかかってしまったり、リーダー主体で周りが置いて行かれてしまったりすることがあります。しかし、それは正しいプロジェクトのあり方とはいえません。あくまでもプロジェクトは、メインの業務ではありません。これをリーダーがきちんと把握し、プロセスに対してクオリティーコントロールを行うようにしましょう。
たとえば、プロジェクトメンバーの中で、作業の遅れやMTGの欠席が目立つ人がいたら要注意です。彼らには、既に大きな負担がかかっている可能性があります。特にZ世代は真面目な人である傾向が高く、問題を相談できずに抱え込んでしまう事例もよく見受けられます。個別面談を行い、仮に実務が手いっぱいでプロジェクト作業の継続が難しい場合、チーム内で分散できないかを検討しましょう。難しい場合は、別の人を探したり、プロジェクトのスケジュールを後ろ倒しにしたりなどの対処も求められます。
ちなみに、前述した「テクノロジーベンダーマップ」のプロジェクトでは、当初は動画で紹介コンテンツをリリースしようと考えていました。しかし、それでは業務負荷がかかりすぎるとの判断から、想定するスケジュール内ではまずPDF資料でリリースすることに切り替えました。その結果、動画として表現を重視して制作する作業よりも内容の精査に注力できたため、かえって品質が高いものを早期にリリースできました。このように「業務を絞って質を高める」ことも重要です。

Z世代の特性に合ったプロジェクトのリーダーを任せて成果につなげる
ここまで、四つの大切なポイントをご説明しました。実際、この四つのポイントを忠実に守ったテクノロジーベンダーマップのプロジェクトは成功に終わっています。
このプロジェクトでの成功の要因は、Z世代のメンバーが中心となって動ける環境を整えたことだと考えています。彼らの特性である新しい技術や手法を受け入れることへの抵抗感の少なさが、プロジェクトのテーマであった「新しいテクノロジーの可視化」作業において強みとして働いたのです。
さらに、Z世代のメンバー登用は、社内のコミュニケーション手法に対しても革新的なアプローチをもたらしました。想定していたスケジュール通りにPDF資料をリリースした後のことですが、Z世代メンバーの発想により、PDF資料から簡単に作れる動画へと変換し、見やすいように2~3分ごとに区切って公開したのです。
この工夫により資料を読み込むという心理的なハードルが低下。隙間時間に動画を見てもらうことが可能になったため、動画の公開後からわずか1週間で、約800人の社員中約200人が動画を視聴するという成果を達成しました。
この経験は、Z世代のメンバーにとっても大きな成功体験となったようです。「若いから」「経験がないから」といって、成長の機会を奪うようでは時代に置いて行かれてしまいます。新時代のリーダーには、Z世代の特性や個性を活かしながら、対等な同志として一緒にプロジェクトに取り組む。そういった姿が求められているのです。