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NewsPicksのLTVドリブンマーケティング

短期/中長期の成長をいかに両立させるか。NewsPicksが失敗から学んだ「長期的な最適化」の重要性

NewsPicksが失敗から学んだ、無料会員の重要性

 NewsPicksでは、2018年前半までほとんど有料会員を増やすためのマーケティングを実施していませんでした。

 有料会員を増やすべく、申込みのハードルを低くするためにトライアルプランを設けたのが2018年中ごろのことです。その後、プロモーションのために広告を出稿すると、大きく有料会員数を伸ばすことができました。

 当時はかなり低い単価で有料会員を増やすことができたので、広告さえ打てば成長できると勘違いしてしまいました。結果、無料会員を増やすためのマーケティング費用を極限まで減らし、有料会員を増やすマーケティングに全振りしてしまいます。

 当初は良かったのですが、時間が経つにつれ、有料会員を獲得するための単価が徐々に上がっていきました。

 お恥ずかしいことに後でデータを分析してわかったのですが、低い単価で増やすことができていたのは、実は既にNewsPicksを使ってくれている、もしくは使ってくれていた、十分に認知していただいていたお客様が有料プランに申し込んでくれたからでした。そういったお客様が一通り有料プランに申し込んでくださった後は、当然NewsPicksに対して認知が薄い、もしくは知らないお客様の割合が多くなるので、有料会員の獲得単価が上昇したというわけです。

 そこから反省し、無料会員を増やすことの重要性を認識しました。しかし当時は無料会員を増やした場合と直接有料会員を増やした場合のLTVを正確に比較できていませんでした。有料会員のLTVは比較的簡単に算出できますが、無料会員として使い始めていただくお客様のLTVを算出するのは少々複雑です。

 ですが、無料会員の将来の価値がわからなければ、投資する意思決定もできません。そんな試行錯誤をしている中で、有料会員を増やすためのマーケティング費用は高騰していき、抜本的に解決する方法を模索することになりました。

短期/中長期の成長を実現するための組織体制

 社内で議論もありましたが、長期的な目線で成長を考えた最適解として、マーケティング組織を分割することにしました。

 NewsPicksはWeb/アプリのサービスであり、プロダクトの改善で継続率を上げ、サービス内部でお客様におすすめすることにより、有料会員を増やすことができます。よって、長期的な目線で外部から新しいお客様(無料会員)を増やすことをマーケティング組織が担い、有料会員を増やすことをプロダクト組織が担うこととしてみたのです。

 また、長期的な投資判断をするためには、無料会員から使い始めていただくお客様のLTVを把握する必要があります。無料会員の獲得を担うマーケティング組織が主導し、LTV算出モデルを構築したところ、それ以後はLTVを基に正しい投資判断ができるようになりました。

 ここまででお伝えしてきた通り、NewsPicksのBtoCマーケティングでは、遠回りですが、まずは無料会員を増やすことに注力しています。

 マーケティング手法としては、基本はデジタルマーケティングを活用して獲得単価を最適化していく形です。ただ、まだ無料会員にはなっていただいていないが、既に認知してくれているお客様が多くいらっしゃる間は獲得単価を低く保てますが、そういったお客様が少なくなった場合に獲得単価が上昇してきます。

 また、NewsPicksはビジネスメディア利用者の中での認知が50%弱と、まだまだ認知が十分ではありません。そこで、マーケティングでは認知率を上げる施策もミックスしながら運用しています。

 次の記事では、「NewsPicksが行っている三つの認知施策」と「マーケティング投資への考え方」についてお話しします。

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この記事の著者

菊地 幸司(コウジ キクチ)

 千葉大学工学部卒業後、三井物産子会社にて新規事業開発を担当。Eコマース事業の立ち上げ、Webサイト改善、CRMシステムの構築、在庫予測システムの構築などデータドリブンマーケティングにより黒字化。その後アイ・エム・ジェイ(IMJ)にてデジタルマーケティング戦略立案・実行支援に従事。

 2017年にNew...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/04/24 14:34 https://markezine.jp/article/detail/44820

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