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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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NewsPicksのLTVドリブンマーケティング

短期/中長期の成長をいかに両立させるか。NewsPicksが失敗から学んだ「長期的な最適化」の重要性

 フリーミアムモデルのプロダクト・サービスにおけるマーケティングについては、戦略の道筋を立てるのが難しく、また参考となるような情報が世にあまり出回っていない。本連載では、2018年中ごろからNewsPicksが試行錯誤しながらアップデートしてきた、フリーミアムモデルにおけるLTVドリブンマーケティングの全容をCMOの菊地幸司氏に紹介してもらっている。2回目である本稿では、フリーミアムのビジネスモデルで判断が難しい、「無料ユーザー or 有料ユーザーどちらの増加に優先して投資すべきか?」という課題に対して、NewsPicksが現在までに見出している最適解を共有してもらう。

フリーミアムモデルでは「無料会員」が事業の土台となる

 フリーミアムモデルのマーケティングにおいて、有料会員と無料会員のどちらを優先して増やしていくのかは、事業のフェーズによって変わります。

 1本目でNewsPicksのBtoCビジネスには、有料会員による売上と広告売上があるとご説明しました。お客様一人当たりの売上金額で考えると、有料会員は広告売上+会員売上があるので、一人当たりの売上金額が大きく見えます。さらに、通常は年間の売上目標や月次の売上目標があるため、短期的に売上に反映されやすい有料会員を増やす施策に注意が向いてしまいます

 お客様に有料プランに申し込んでいただくには(たとえお試しいただけるトライアル制度があったとしても)相当なハードルがあります。NewsPicksのことをよく知らないお客様が、広告やソーシャル投稿などを1~2回見た程度ではなかなか有料プランに申し込んでいただけません。また経済コンテンツはエンタメコンテンツなどに比べてニッチなので、万人受けするコンテンツも多くありません。ニーズのあるお客様とのマッチングが重要なので、獲得単価も高くなりがちです。

 もし獲得単価が低い状態で有料会員を増やすことができているとすれば、それは既にNewsPicksの有料コンテンツの良さを知っていただいているお客様です。

 たとえば、NewsPicksの有料コンテンツを何度か読んでみたいと思っているが、まだ有料プランに申し込んでいただいていないお客様がいるとします。そういったお客様に、新たに視聴してみたいと思う有料動画を広告などでおすすめしたとしましょう。こうした場合に「以前も読んでみたい有料記事があったし、今回出合った有料動画も見たい、この際申し込むか」という形で有料プランに申し込んでいただけます。

 このように有料コンテンツの良さを知っていただいているお客様を一朝一夕で増やすことはできません。短期的な施策で、そういったお客様に有料プランに申し込んでいただくことができるかもしれませんが、そういったお客様が少なくなれば、結局獲得単価は高騰することになります。

 よって、まずはNewsPicksの無料会員になっていただき、経済コンテンツに触れる中で有料コンテンツの良さを知っていただく中で、有料会員にステップアップいただくことが重要です。

 その際、外部プラットフォームではYouTubeとの相性が良いです。有料動画の一部を無料でYouTubeに掲載することによって、お客様に自然な形でオリジナル動画コンテンツに触れていただくことができます。何度かご覧いただくうちに、NewsPicksの有料動画の良さを知っていただけるので、有料プランの申込みに繋がります。

 お客様に有料コンテンツの良さを理解していただくための取り組みは時間がかかりますが、とても重要です。

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NewsPicksが失敗から学んだ、無料会員の重要性

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この記事の著者

菊地 幸司(コウジ キクチ)

 千葉大学工学部卒業後、三井物産子会社にて新規事業開発を担当。Eコマース事業の立ち上げ、Webサイト改善、CRMシステムの構築、在庫予測システムの構築などデータドリブンマーケティングにより黒字化。その後アイ・エム・ジェイ(IMJ)にてデジタルマーケティング戦略立案・実行支援に従事。

 2017年にNew...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/24 14:34 https://markezine.jp/article/detail/44820

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