キャリアSNS「YOUTRUST」が仕掛ける積極的なOOH戦略
近年、様々な企画でOOHを展開し、SNSで話題となっているスタートアップ「YOUTRUST(ユートラスト)」をご存じでしょうか。
同社が展開するサービス「YOUTRUST」は、企業から転職・副業のスカウトが届く日本発のキャリアSNS。2017年に創業し、2021年8月にはシリーズBの資金調達を行いました。
同社では2021年8月以降、渋谷や六本木などターゲットとなるビジネスパーソンが多いエリアを中心にOOHを使った認知獲得施策を実施。ユーザーを巻き込む企画などを通し、掲出時にはSNSでの拡散に成功しています。
私は職業柄、日々SNS上で話題になった広告を現地に見に行き、写真を撮り、「なぜ話題になったのか」を考察しています。本記事では、YOUTRUSTのOOHが話題化される要因や特徴を三つの企画から分析していきます。
サービス紹介をしないOOH 知らないサービスを利用することへの抵抗を払拭
一つ目の事例は、2021年9月に展開された「すごい人は、ここにいる」の広告。「すごい人は、ここにいる」をキーフレーズに、渋谷や恵比寿、六本木など都内各地で駅広告が展開されました。
同広告は、サービスを利用するコアユーザーの投稿内容がそのまま組み込まれたクリエイティブが特徴的。実際に投稿内容が掲載されたユーザー(以下、出演者)を中心にSNSで発信・拡散されました。
同施策は、「出演者がOOHの写真を撮影し、SNSに投稿する想定」のいわゆる参加型のOOHでした。
一般的にOOHは、視認数を稼げる反面ピンポイントのターゲティングが難しく、広告と消費者との接触時間が短い特性があります。ゆえに同じ投資額のWeb広告と比べる場合、広告の視認者数は稼げるが、一人あたりに与えるインパクトは落ちてしまいがちです。
一方、同企画では、クリエイティブ内にサービス自体の広告は盛り込まれておらず、投稿内容が中心になるように設計されています。その上で意図的に出演者の生活圏内でOOHを展開し、出演者本人やその同僚、友人が気軽に見に行ける環境を構築しました。こうすることで、関係者がOOHを実際に見に行くハードルを徹底的に下げ、写真の撮影やSNSへの投稿を促すことに成功しました。
このようにSNSでの投稿数が増えたことで「身近な人が使うサービス」として認知が広がりました。同施策により、2週間でCPAは前月比105%とほぼ横ばいのままで新規登録者数が前月比380%と大幅な増加を実現したと言います。知らないサービスを利用するハードルを下げ、新規登録者を増加させた戦略は見事でした。