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デジタルで広がる、オフライン広告の可能性

OOHの評価基準は視認者数だけではない YOUTRUSTから学ぶユーザーを巻きこむオフライン広告

 Web広告の躍進が著しい昨今でも、OOHや紙メディアを始めとするオフライン広告は爆発力と拡散力を秘めている。本記事では、株式会社ビズパでスタートアップやベンチャー企業に対してOOH活用のコンサルティングに携わる加藤氏が、OOHを活用した広告戦略で注目を集めているYOUTRUSTの戦略を分析、解説する。

キャリアSNS「YOUTRUST」が仕掛ける積極的なOOH戦略

 近年、様々な企画でOOHを展開し、SNSで話題となっているスタートアップ「YOUTRUST(ユートラスト)」をご存じでしょうか。

 同社が展開するサービス「YOUTRUST」は、企業から転職・副業のスカウトが届く日本発のキャリアSNS。2017年に創業し、2021年8月にはシリーズBの資金調達を行いました。

 同社では2021年8月以降、渋谷や六本木などターゲットとなるビジネスパーソンが多いエリアを中心にOOHを使った認知獲得施策を実施。ユーザーを巻き込む企画などを通し、掲出時にはSNSでの拡散に成功しています。

2023年10月30日の週に渋谷駅で展開していたOOH

 私は職業柄、日々SNS上で話題になった広告を現地に見に行き、写真を撮り、「なぜ話題になったのか」を考察しています。本記事では、YOUTRUSTのOOHが話題化される要因や特徴を三つの企画から分析していきます。

サービス紹介をしないOOH 知らないサービスを利用することへの抵抗を払拭

 一つ目の事例は、2021年9月に展開された「すごい人は、ここにいる」の広告。「すごい人は、ここにいる」をキーフレーズに、渋谷や恵比寿、六本木など都内各地で駅広告が展開されました。

(左)JR品川駅自由通路、(右)東急目黒線目黒駅。両枠ともにサイネージで、ユーザーの投稿内容が3秒ほどで入れ替わっていく動画を掲出

 同広告は、サービスを利用するコアユーザーの投稿内容がそのまま組み込まれたクリエイティブが特徴的。実際に投稿内容が掲載されたユーザー(以下、出演者)を中心にSNSで発信・拡散されました。

 同施策は、「出演者がOOHの写真を撮影し、SNSに投稿する想定」のいわゆる参加型のOOHでした。

クリエイティブ内に掲載されたユーザー、同僚や関係者によるOOHの発見報告も多数見られた(画像は実際の投稿

 一般的にOOHは、視認数を稼げる反面ピンポイントのターゲティングが難しく、広告と消費者との接触時間が短い特性があります。ゆえに同じ投資額のWeb広告と比べる場合、広告の視認者数は稼げるが、一人あたりに与えるインパクトは落ちてしまいがちです。

 一方、同企画では、クリエイティブ内にサービス自体の広告は盛り込まれておらず、投稿内容が中心になるように設計されています。その上で意図的に出演者の生活圏内でOOHを展開し、出演者本人やその同僚、友人が気軽に見に行ける環境を構築しました。こうすることで、関係者がOOHを実際に見に行くハードルを徹底的に下げ、写真の撮影やSNSへの投稿を促すことに成功しました。

渋谷駅で展開された広告。左上に「すごい人は、ここにいる。」、右下に「日本のキャリアSNS YOUTRUST」と書かれているのみで、他はすべて出演者による投稿内容が掲載された

 このようにSNSでの投稿数が増えたことで「身近な人が使うサービス」として認知が広がりました。同施策により、2週間でCPAは前月比105%とほぼ横ばいのままで新規登録者数が前月比380%と大幅な増加を実現したと言います。知らないサービスを利用するハードルを下げ、新規登録者を増加させた戦略は見事でした。

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この記事の著者

加藤 誠也(カトウ セイヤ)

株式会社ビズパ アドクロ編集長

 食品メーカーで営業職を経験後、2019年に同社入社。主に、編集長として広告・マーケティングの情報メディア「アドクロ」のコンテンツ制作、プランナーとしてスタートアップやベンチャー企業の集客支援を担当。「広告巡礼」を日課としており、見つけた広告事例はXTikTokで発信、テレビ出演やセミナー登壇も多数。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/03/08 08:30 https://markezine.jp/article/detail/44881

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