OOHを採用プラットフォーム化?参加者が発信したくなる仕組み
二つ目の事例が、2022年10月頃から掲出された「#熱募(あつぼ)」企画の広告。同企画は、YOUTRUST上の様々なスタートアップ企業による求人募集告知を同社が集約し、巨大ポスターに盛り込んで掲出した広告です。
同企画において同社はまず、「#熱募」というキャッチーなタグを設定。募集要項の記載と、X(当時はTwitter)でのシェアという二つの参加要件をクリアした求人募集告知をOOHで取り上げるという仕組みになっていました。
一見すると一つ目の事例と似ていますが、求人に力を入れている企業の利用が前提となっている点が異なります。また、応募者とその所属企業が高い熱量を持って採用活動を行っていることも特徴として挙げられます。
私が考える同企画の注目ポイントはOOH掲載後にYOUTRUST外のSNS上での投稿をしてもらいやすい状態を意図的に作っていた点です。そもそも同企画は、求人に注力をしていて、なおかつSNSを活用して求職者を募っている企業が参加しているものです。つまり、参加企業はOOHに掲載されれば、その様子を写真に収めて自主的に投稿し宣伝を行うことは想像にたやすいです。実際、同社の狙い通り、OOH展開の度に掲載されたユーザーによる発信の流れが創出されていました。
加えて、同施策は採用媒体としてのYOUTRUSTの宣伝にもつながっていたと私は考えています。費用を掛けた分だけプラットフォーム上での露出が増える大手の採用媒体と異なり、「OOHに掲載される」という独自の宣伝方法は採用担当者にも魅力的に映ったのではないでしょうか。実際、掲載されたユーザーの投稿にはYOUTRUSTに対する感謝の発言も多数見られました。
YOUTRUSTの利用企業がトレカに 配布型のOOH
三つ目の事例は、2023年8月に東横線渋谷駅で実施された「ダレカ」企画の広告。同企画は、YOUTRUST利用中の企業代表やCXO、人事の方をトレカにして配布するという施策です。合計38社(38人)がピックアップされ、それぞれ完全オリジナルのカードとしてピールオフ形式で配布されました。
このOOHのポイントは「誰かに話したくなる体験」だと考えています。特に、「身近な人がカードになる体験」のインパクトは非常に大きく、反応を見ていると掲載された本人以上に同僚や友人によるSNS投稿が多数見られました。また、カードを配布してしまうので、当然枚数が限られてしまいます。このプレミア感も起爆剤になったと感じています。
先に紹介した二つの事例とは異なり、実際にモノ(カード)があることがプラスに働いています。なぜなら、掲載された本人以外である、カードを受け取ったユーザーも“企画の当事者”として巻き込むことができるためです。OOH写真の他、自社メンバーのカードとともに求人を呼びかける投稿や、カード内に記載された“技名”に言及して投稿するユーザーも多く見られました。カード内に書かれたコンテンツは各参加企業がオリジナルで作成したことから、企業ごとにカラーが出ていたのも話題化につながりました。
求職者立場から見ても、カードになった人物の雰囲気や企業の対応、雰囲気などの生な情報が得られるユニークな企画であったと感じます。
