電通は、日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推定した「2023年 日本の広告費」を発表した。以下、一部内容を紹介する。
2023年の総広告費、前年比103%の7兆3,167億円に
2023年の日本の総広告費は、通年で7兆3,167億円(前年比103.0%)に。前年に続き、同社が1947年に推定を開始して以降過去最高となった。
上半期は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行にともなうリアルイベントの開催数増加や国内外の観光・旅行の活性化などにより回復が見られた。下半期は、社会・経済活動の活発化のもと「交通・レジャー」「外食・各種サービス」「飲料・嗜好品」を中心に広告需要が高まった。
特に、インターネット広告費や人流の活発化にともなって増加した「イベント・展示・映像ほか」などのプロモーションメディア広告費が、市場全体の成長に寄与した。
インターネット広告費は前年比108%と堅調に増加
また「マスコミ四媒体広告費」「インターネット広告費」「プロモーションメディア広告費」の3種類に分類し、媒体別に調査した。
まず、マスコミ四媒体広告費は2兆3,161億円(前年比96.6%)に。「雑誌広告費」「ラジオ広告費」は増加したものの「新聞広告費」「テレビメディア広告費」が減少し、マスコミ四媒体全体では前年を下回った。
次に、インターネット広告費は3兆3,330億円(前年比107.8%)となった。総広告費に占める構成比は45.5%に達し、堅調に伸長した。内訳を見ると「インターネット広告媒体費」は2兆6,870億円(前年比108.3%)となり、前年に続きコネクテッドTVの利用拡大などを背景に「テレビメディア関連動画広告費」が443億円(同126.6%)と伸びた。
「物販系ECプラットフォーム広告費」は2,101億円(同110.1%)、「インターネット広告制作費」も4,359億円(同103.7%)と、それぞれ増加した。
続いて、プロモーションメディア広告費は1兆6,676億円(前年比103.4%)だった。各種イベントの再開や大規模化に加えて、複合型商業施設やテーマパークなどにおける催事企画の増加により「イベント・展示・映像ほか」が3,845億円(前年比128.7%)と大きく増加。特にイベント領域は1,704億円(前年比138.2%)に。また「交通広告」「屋外広告」も、プロモーションメディア全体の成長に寄与した。
なお同調査における「物販系ECプラットフォーム広告費」とは、生活家電・雑貨、書籍、衣類、事務用品などの物品販売を行うECプラットフォーム(「物販系ECプラットフォーム」)上において出店を行っている事業者(「店舗あり事業者」)が当該プラットフォーム内に投下した広告費と定義。より広い意味での「EC領域での販売促進を図るインターネット広告費」全体を指すわけではない。
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