止まらぬ値上げラッシュ、生活者も節約に限界
2023年は、前年からの値上げラッシュがピークに達する記録的な一年でした。2024年に入ってからも、外食・食品・日用品など様々なシーンでの値上げが報道されているように、物価上昇の傾向はいまだに続いています。
この値上げラッシュは生活者の家計に大きな打撃を与えています。実際に「値上げに不安を感じている」「節約意識が高まっている」という調査結果を目にする機会も多かったのではないでしょうか。一方で、「節約疲れ」というキーワードが出てきているように、物価高が長期化する中で、一部の生活者は節約行動に限界を迎えつつあるといった調査結果も出ています(インテージ調べ※1)。
このように、値上げに関連した節約意識や購買行動の変化に注目が集まっていますが、生活者のライフステージや価値観によって変化の度合いは異なります。本記事では、生活者の買い物に対する価値観に着目し、値上げに対する購買行動の変化をデータで見ていくとともに、その背景も探っていきます。
買い物に対する価値観で生活者を2つに分類
インテージでは、5万人を超える生活者から日々の買い物データの収集(※2)および定期的な意識調査(※3)を行っており、その結果から107項目の独自の価値観スコア(図表1)を算出しています。この中から買い物に対する価値観を用いて生活者を2つのタイプに分類し、分析を行いました。
1つ目のタイプは「慎重購買型」で、必要性を考えてから買い物をする、商品を買うときはじっくり比較検討してから決める、欲しいものはお金をためてから買う、といった特徴を持つ生活者です。
もう1つのタイプは「直感購買型」で、予定外のものを買ってしまう、目立つ陳列・パッケージ・ネーミングにつられてつい買ってしまう、といった特徴を持ちます。
5万人近いデータのうち、それぞれ特徴の強い生活者約7,000人ずつを抽出してデータを見ることで、両タイプの価値観の違いから購買行動の違いを読み解いていきます。
※3 Profiler