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飯髙悠太氏が探る「エモ」と「ビジネス」と「成長」

シェフならではの説得力があるチーズケーキをどう作る?Mr. CHEESECAKE誕生の背景

「出来る限り自分では作らない」と決めた理由

飯高:Mr. CHEESECAKEは週1回しか買えないところから、定常的に買えるように変化していますよね。高品質な商品を作り続けることと、人員を増やし効率的に製造することはある意味で相反するもので、バランスをとるのはとても難しいと思います。このあたりはどうしていますか?

田村:ここはすごく難しい部分ですね。ただ、自分で会社を作るタイミングで、明確に決めたことが2つあるんです。1つは一般的な企業と同じ待遇にすること。2つ目は出来る限り自分では作らないこと。

 週休2日、土日祝日休み、残業代が出て有給も付与する。これは料理人からすると、あまりなかった環境かと思います。料理人は長時間労働がまだまだ多い世界です。まず環境を整えなければ、長く良いものを作れないと考えたんです。

 会社としてちゃんとした状態を作り、新しいメンバーが来たときに、僕が直接教えなくても現場が正しく回る状態を作る必要があると思いました。そこで、僕がやるべきことは新しい商品の開発や会社の運営、オペレーション整備だと切り替えて、キッチンはスタッフに任せることにしました。

 僕は口を出すけどなるべく手は出さないという状況で、最初は5人のスタッフとじっくり進めましたね。おかげで、最初に入った5人のスタッフが新しく入ったスタッフに丁寧に教えてくれる体制ができ、ブランドのクオリティをキッチンスタッフがしっかり守ってくれています。

クオリティとスピードはイコール

飯髙:クオリティを守りながら効率を上げるためにどうしているんですか?

田村:クオリティとスピードはイコールだという話をずっとしています。どうしても、時間をかけて丁寧に作らないとクオリティが下がると思われがちですが、そうではないと僕は思っています。どれだけ丁寧に作っても間に合わなければ意味がないんです。少しのロストが出てもいいからスピードを意識してほしいと伝えてきましたね。

 特に、料理人は労働時間が長くなりがちなので、他所で働いていた人ほどうちの勤務時間は短く感じると思います。でも単純に労働時間が短縮したのではなく、今までの仕事を8時間にどうしたら圧縮できるかを考えてほしいというコミュニケーションを意識しましたね。

 だから、スタッフ1人ひとりにタイマーを1個渡して、全部の作業タイムを測ってもらっています。みんなのタイムから目標タイムを設定して、高いレベルをみんなで目指しています。これは僕が修行時代にゲーム感覚でやっていたもので、人に急かされるよりも、タイマーに急かされるほうが行動は変わりやすいと思います。

 スタッフの作業時間がわかると目標の時間内で終わるかも計算できるようになるので、指示を出すときも、「今これだけビハインドしてるから、手の速い人にお願いします」といったことができます。各セクションでそれができると、セクション間での連携が取れるようになります。

 スタッフも自分の作業時間を知ることが、1日のタイムマネジメントにつながるので、どんどん効率化できる人も出てきます。もちろん最初からマネジメントの話をするのではなく、まずは全部の作業のタイム計るところから始めています。

 うちの組織はこの考えが染みわたっているので、効率を上げながら高クオリティなもの作りができています。僕が1人で作っていた頃より、クオリティーとスピードが高いレベルで保たれています。

飯髙:Mr. CHEESECAKEが美味しさを保ちながら規模を拡大できている秘訣はストップウォッチだったんですね(笑)

後編では週1から24時間販売への変化や海外進出の背景、Mr. CHEESECAKEの課題について触れていきます。後編の記事を読む(4月9日9:30よりご覧いただけます)

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この記事の著者

飯髙 悠太(イイタカ ユウタ)

株式会社ベーシック執行役員、株式会社ホットリンク執行役員CMOを経て2022年6月に「ひとの温かみを宿した進化を。」をテーマに株式会社GiftXを創業し、「おもいが伝わる。ほしいを贈れる」選び直せるソーシャルギフト「GIFTFUL」運営。現在、企業のアドバイザーやマーケテ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/06/27 14:23 https://markezine.jp/article/detail/45230

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