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飯髙悠太氏が探る「エモ」と「ビジネス」と「成長」

シェフならではの説得力があるチーズケーキをどう作る?Mr. CHEESECAKE誕生の背景

 「チーズケーキ市場のことは考えてなかった」と語るのは、一時は入手困難だったこともある人気のチーズケーキ「Mr. CHEESECAKE」を立ち上げた料理人の田村浩二氏です。パティシエの作るチーズケーキとは違う特徴を持ち、コンビニスイーツとは異なる価値を持つチーズケーキを開発した田村氏にチーズケーキ作りに込める想いと、ビジネス拡大に伴うクオリティと効率について、選び直せるソーシャルギフト「GIFTFUL」を運営する飯髙悠太氏が取材しました。

本記事は4月23日まで無料でご覧いただけます

評価を得る料理から、作りたい料理へ

飯髙:Mr. CHEESECAKEといえば、オンラインショップで曜日や時間、数量を限定して販売する人気のチーズケーキとして知られています。最近はポップアップショップや香港進出も果たし、今年1月には24時間販売も開始しました。

 今日はプロダクトへのこだわりと、ビジネス拡大についていろいろお話を伺いたいと思います。まずは、田村さんがMr. CHEESECAKEを始めるまでの流れを教えてください。

田村:僕は東京や名古屋のレストランで働いた後に、当時2つ星だった下村 浩司シェフのレストラン「Edition Koji Shimomura」に立ち上げメンバーとして参加しました。約2年間そこで料理人としての基礎を学びました。2015年に30歳のタイミングで渡仏して南仏の3つ星レストランなどで働き、帰国後2017年から「TIRPSE(ティルプス)」というレストランのシェフを務めました。

飯髙:かなりピカピカなキャリアですね。

田村:そうですね、料理人としては王道を歩んできたと思います。そんな自分にとって大きなターニングポイントは、2017年12月にレストランガイドブック『ゴ・エ・ミヨ』の「期待の若手シェフ賞」を受賞したことです。

株式会社Mr. CHEESECAKE 代表取締役 田村浩二氏

 星をとったり、評価をいただいたりすることは、料理人として誰もが目指すものだと思います。僕もそれを目標にしてきました。しかし、目標を達成したことで僕が望む状況になったかと言うと違ったんですね。

 僕が料理の世界に入ったきっかけは高校3年のときに親友の誕生日ケーキを作ったこと。大切な人に料理を通して喜んでもらいたいという気持ちが強いんです。受賞によって、同業者などいわゆる業界の方がお客様に増える中で、もっと一般の人に自分の料理を楽しんでもらいたいと思うようになっていました。

 決定打は母の言葉でした。食事に来てくれた際に「美味しかったけど、よくわからなかった」と言われたんです。自分の母にもピンとこない料理を作るってどうなの?と。

 それまでは、評価を得るための料理を作っていた側面もあったので、自分が本当に届けたいものは何か?を改めて考えました。行き着いた答えが「誰が食べても美味しくて、どこよりも美味しいものをできる限りシンプルに作りたい」でした。そこで、自分の大好きだったチーズケーキを作ることにしました。

チーズケーキの勝ち筋を探してたどり着いた「冷凍」

飯髙:チーズケーキは定番の人気スイーツです。だからこそ難しい領域だと思います。よく進出されましたね。

田村:チーズケーキ市場とか考えてなかったですね(笑)売れるアイテムを探して作ったというよりは、本当に自分の中の作りたい商品を選びました。

 ただ、チーズケーキを開発する際にパティシエと同じことはしないと決めていました。僕はパティシエではないので、絶対に勝てないと思ったから。シェフのスキルを活かせて説得力のあるチーズケーキは何かと考え、レストランデザートの儚い食感や、自分大切にしている「香り」の要素を入れることにしました。

 一方で、ケーキは配送するとも決めていました。レストランでケーキを販売すると、食事に来るお客様と、近所のラフな格好のお客様がバッティングする可能性があります。これは体験としてあまり良くないなと思いました。そうすると、柔らかいケーキを配送するためには冷凍するしかありません。

 そこで、冷凍しても品質が落ちない、むしろ冷凍することで調理の工程が完成する配合を目指すという方向性が決まりました。

飯髙:それで、時間とともに食感が変わるチーズケーキができたんですね。

3つの食べ方
提唱している3つの食べ方

田村:それも狙ったわけではなく、料理人としてのアクションをしていたら、冷凍・半解凍・全解凍の味の違いに気付いたんです。

 冷凍して完成するケーキをちゃんと試食するには、冷蔵庫に入れて翌日まで解凍を待つ必要があります。でも、時間に追われている中でそんなに待つことができなかったので、仕事をしながらケーキのことを時折思い出して、その都度食べると「半分ぐらい溶けても美味しいな」「常温だと味が違うな」と。

 ただ、温度の変化によって味と香りの変化を楽しんでもらえる点は、きちんと伝えるべきだとは思いました。元々、コンビニスイーツの手軽に楽しめる良さと差別化を図る必要性を感じ、ゆっくり食べるケーキ、つまり、食べることに時間をいただくケーキにしたいと考えていました。

 時間を使ってもらう価値を探していたところで温度の変化に気付けたので、時間を待ちながら変化を楽しむという伝え方になりました。さらに、これなら冷凍自体もポジティブに捉えていただけるとも思いました。結果的に味の変化を楽しめる冷凍チーズケーキのかたちになり、2018年からシェフとの二足のわらじでスタートを切ることになりました。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

飯髙 悠太(イイタカ ユウタ)

株式会社ベーシック執行役員、株式会社ホットリンク執行役員CMOを経て2022年6月に「ひとの温かみを宿した進化を。」をテーマに株式会社GiftXを創業し、「おもいが伝わる。ほしいを贈れる」選び直せるソーシャルギフト「GIFTFUL」運営。現...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/24 14:21 https://markezine.jp/article/detail/45230

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