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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2024 Spring

業種業界を問わず、みんな立ち返ることができる「マーケティングの基本」/ブランディングとお金の話も

マーケティングファネルに囚われず、顧客の感情を見るべき

髙口:最後に、これは私から音部さんへの質問でもあるのですが。VUCA時代と言われるように、現代では目まぐるしい変化が日々起こっています。技術の進化が今までになく速いので、模倣されやすく、消費者も飽きやすい状態です。環境や価値観が大きき変化していく中で、ブランドは特定のパーセプションをかたくなに維持し続けるべきと思われますか?

音部:それは悩ましいですね。Productの機能については、日進月歩で進化するテクノロジーが反映されていますが、プロダクトライフサイクルはあるので、長い目で見ると廃れていってしまうことは否めません。一方、ブランドは「意味」なので、言葉の定義が変わるくらいのスピードで変えていけばいいのかもしれません。真髄としてのブランドの意味が明確に構築されていれば、外部環境の変化に左右されないのではないでしょうか。

 たとえば、今「(いい意味で)ヤバいブランド」と表現しているとして、10年後に「ヤバい」という表現を同じように使っているとは考えにくいですよね。ただ、ヤバいの真髄は「カッコイイ」なのだと定義できていれば、表層の言葉がホットでもクールでも意味は一緒です。どう表現するかは時代に合わせていけばよいのです。逆に「ヤバい」に執着すると、時代の流れに適合していけなくなるかもしれないですね。

髙口:なるほど。パーセプションの良し悪しは、ブランドや会社の経営を左右するものなので、今の状況を踏まえて、使い方を考え直すと良いですね。人間は感情の生きモノで、どこまでも主観で動きます。パーセプションは、マーケティングやビジネス活動において、切っても切れない重要なパーツでしょう。

音部:そうですね。最後に「パーセプション(認識)」に関する話もしておきましょう。

 皆さんご自分の行動を振り返ってみていただきたいのですが、最近買ったモノは、ブランドの名前を認知してから、欲しくなりましたか? それとも、その商品を欲しくなってから、ブランドの名前を知りましたか? 誘導している感が否めませんが(笑)、恐らくその商品を欲しいと思ってから、名前を認知していることのほうが多いのではないでしょうか。

 つまり、「私は○○です、好きになってください」という論法は、本当はあまり有効ではありません認知してから購入に至りファンになっていくという、ファネル構造が一般的ですが、我々人間の実体験はちょっと違っているようにも見えます。

 自社ブランドを好きになってもらうべき人に、好きになってもらえるように接するほうが、マーケティングでは効率が良さそうです。そして、そのように消費者の感情をしっかり理解して、感情ドリブンでマーケティングの順番を考えていくほうが、消費者も幸せなのではと思うのです。

髙口:人間である以上、AIがどれだけ進化しても、主観や感情はなくならないでしょう。時代によって、消費行動の順番や位置づけ、重要度合などは若干前後するということを前提としつつ、不変的な本質を捉えられると良いですね。その意味では、音部さんに今日見せていただいたチャートはエッセンシャルなものだと思いますので、この構図を頭に入れて、ご自身の仕事に役立てられると良いかなと思いました。音部さん、今日はありがとうございました!

音部:こちらこそ、素敵なファシリテーションをありがとうございました!

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/11 09:00 https://markezine.jp/article/detail/45235

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