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ポストCookie時代の本格到来を乗り越える

ポストCookie時代、企業が取るべき対応や代替手段は?現状とこれからを概観する

広告IDやコンテキストターゲティング……代替手段を考える

MZ:Cookieが予定通り2024年末に廃止されるのであれば、猶予期間はあまり残されていません。マーケティングの手法や方向性において、企業が今取り組むべきことは何でしょうか。

高橋:もし私が企業の担当者だったら、という仮定でお話します。まずはWebの代替手段となるAPIのGoogle「プライバシーサンドボックス」とMeta「コンバージョンAPI(CAPI)」、広告ID(広告識別子)、コンテキストターゲティング、「コホート(ブラウザを興味ごとにまとめたグループ)」ベースの広告などから自社の商材に最適なものを、少ない予算でもいいのでトライ&エラーで試していきます。

 そこから少し視野を広げて、アプリに切り替えるのかリテールメディアがよいかなどを社内で検討し、1stパーティCookieに予算をかけるといった全体設計の見直しを上申します。「データの欠落によりKPIが変化するので対策しましょう」というように、今のうちに社内の根回しをしておくことが大切です。

MZ:挙げていただいた代替手段には、それぞれどのようなメリット・デメリットがありますか。

高橋:広告IDは、ファーストパーティCookieを活用してユーザーを補足する手法です。比較的早い段階で登場したものですが、プライバシーに関してはユーザー側の許諾が必要です。日本の国民性として個人情報を「盗まれている」という意識が強く、開示を嫌がる人も多いため、デメリットの一つになっています。

 他方で、コンテキストターゲティングはもう少し普及する余地があると思っています。掲載先のコンテンツに合った広告を配信できるので、ユーザーの購入意識はさておき、関連性の高い広告が出せます。まだブレイクスルーは出ていませんが、AI領域が進んで記事を理解する精度が上がれば、より広く普及すると思います。記事ベースで配信するのでIDも関係なく、許諾の課題もクリアできるため、個人的には期待しています。

 またコホートは、GoogleやMetaなど大手プラットフォームを中心に広がっていますが、規制が懸念点です。量も予算も大きくテクノロジーが集結してメリットも多分にありますが、規制次第で締め出される可能性もあり得ると注視しています。

 この他、アプリはAppleとGoogleの2強といえます。各社の商材や重要視する点にもよりますが、アプリにすべてシフトするのではなく、たとえばコホートを7~8割にしてコンテキストやアプリ、リテールメディアなどを少しずつ並行して試していく形が現状の最善策ではないでしょうか。

2024年に自社方針を見つけ、2025年に行動に移せる企業は強い

MZ:最後に、ポストCookie時代に向けた展望や見解をお聞かせください。

高橋:これまではCPAやLTVといった数値が重視されましたが、法規制が厳格化する今は「規制の対象になるか」といった法律的観点で物事を考える必要性が増しています。

 戦略策定が難しい時代ではありますが、裏を返せば各社が置かれた状況は横並びだということです。2024年に自分たちの方針を見つけ、2025年に具体的なアクションができる会社は強いといえます。その一歩が早ければ早いほど、大きな差が付くでしょう。

 今は飛躍のための大きなチャンスとポジティブに捉えて、トライ&エラーを重ねながら、自社にあった手法や予算配分を見つけていただきたいと思います。

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この記事の著者

星 久美子(ホシ クミコ)

フリーランスのライター/編集/広報。栃木県生まれ。事業会社を経て独立。ビジネス、食やライフスタイル分野を中心に取材や企業広報などを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45307

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