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ポストCookie時代の本格到来を乗り越える

ポストCookie時代、企業が取るべき対応や代替手段は?現状とこれからを概観する

 「ポストCookie時代に備える必要がある」──以前から語られてきたこの言葉。各種ブラウザでのCookie規制が加速し、2024年はここ数年でも特に大きな改革が進むといわれる。しかし自社の対応が進まない、現在の潮流や動向を把握しきれていないといった課題を抱える企業も少なくない。本記事では、Moloco合同会社 高橋君成氏にCookie規制の最新動向と対応策、企業やマーケターへの影響と課題を聞いた。

Cookie規制において注目すべき2つのポイント

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、自己紹介をお願いします。

高橋:Criteoを経て、海外DSPなどネットワーク系の日本法人の立ち上げに携わり、アドテク業界は10年目になります。2022年11月からは米国の機械学習プラットフォーム「Moloco」の営業として、ソリューション拡大に従事しています。

 Moloco合同会社 New Business Director, Japan Business team高橋君成氏
Moloco合同会社 New Business Director, Japan Business team 高橋君成氏

MZ:Googleは、2024年後半からChromeのサードパーティCookieの段階的な廃止を宣言しています。まずは高橋様から見たCookie規制の現状分析と、事業会社やマーケターが特に押さえておくべきポイントをお聞かせください。

高橋:注目すべき点は二つあります。一つは法規制への対応、もう一つはGoogleの代替手段の開発状況です。

 Cookie規制に関わる法律について、海外ではGDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などの整備が進んでいます。国内でも改正個人情報保護法や改正電気通信事業法によって、Cookieは特定の個人に関する「個人関連情報」に該当するものだと解釈され、規制の対象となりました。

 Googleの検索ビジネスは市場で独占的な立場を維持し、競争を阻害したとして反トラスト法(日本における独占禁止法に相当)違反で提訴されています。もし、GoogleがCookieに変わる新たなソリューションを確立したとしても、Googleのコントロール下に置かれたネットワークで競争が行われてしまうと、結果的にGoogle側に有利に働く恐れがあります。規制当局はその状況を懸念して透明性の確保を要求していますが、まだGoogleは現実的な具体策を見出せていません。

 現状Googleは2024年末までのCookie廃止を発表していますが、上記を背景に私はこのまま延期もあり得ると見ています。

MZ:企業やマーケターは現状として、動向を注視しつつ見守っていく形でしょうか。

高橋:そうですね。もちろんGoogleにはこの先1年ほどのスパンで実現できる技術力もありますし、新ソリューションへの移行準備も進めているかもしれません。ただ、レポートを見る限り目指す精度にはまだ達していないと見受けられます。

 何より、まずは法規制をクリアして規制当局の懸念を払拭することが最優先事項です。現段階において企業やマーケターがすべき対策は、情報収集などの対応を進めていくことだと思います。そしてしかるべき時が来たらすぐに対応できるよう、準備を整えておくことが大切です。

マーケティングのインプット・アウトプット双方に影響

MZ:Cookie規制が加速する状況において、企業のマーケティング活動にはどういった影響が出るとお考えですか。

高橋:データの分析・活用などのインプット、それらを基にした広告配信・計測などのアウトプットの両方に影響すると考えられます。特にレポート設計も含めたターゲティングにおいては、得られるユーザーデータの粒度が荒くなり欠落部分も出る恐れがあります。

 これからは、ユーザーの興味・関心を示した「インタレストグループ」に広告を配信する形が一般的になってきます。Cookieでは個人のサイト遷移も追えていましたが、規制によってグループを「集団」としてしか捉えられなくなります。

 たとえば靴に興味がある100人のグループに広告を配信しても、100人それぞれのニーズや行動など前後のコンテキストまでは得られないため、ユーザーに響く広告が打ちにくくなります。結果的に、費用対効果が下がってしまうかもしれません。つまりこれは、パーソナライズと呼ばれていたターゲティングができなくなることを指します。

 その他、マーケティングファネルにおける「比較検討」や「行動」のデータが欠落する可能性があります。そのため企業はユーザーの興味・関心をいかに高められるか、ユーザーをいかにファン化するかを重視し、ファネル上部への認知やCRMへ予算を寄せる流れが出てくると考えます。

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この記事の著者

星 久美子(ホシ クミコ)

フリーランスのライター/編集/広報。栃木県生まれ。事業会社を経て独立。ビジネス、食やライフスタイル分野を中心に取材や企業広報などを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45307

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