「このブランドだから購入する」選ばれ続けるために
――最後にマーケティング部門において現在掲げられている目標や、今後の展望についてお聞かせください。
今後は、生活者とのコミュニケーションを深めることで、その商品をずっと使い続けていただける方を増やすロイヤリティ・マーケティングに力を入れていきたいです。従来は、大衆ニーズを捉えた「大量生産、大量消費」を前提としたモノづくりを行い、魅力あるテレビ広告や店頭づくりでトライアルを獲得するマス・マーケティングが主流でした。今は、花王の商品をずっと使い続けてくれるという、ファン・ロイヤリティを増やすマーケティングへシフトしていくため、KPIや仕組みを変えています。
実際に成功例も出てきています。たとえば生理用品ブランドのロリエでは、女性の生活者の悩みに寄り添うという軸で進め、女性の生活者や企業様の声を聞きながらサービスを改善してきました。
このように生活者とのコミュニケーションを大切にし、寄り添った取り組みを続けていくことで、「たまたま手に取ったのがロリエだった」ではなく「ロリエだから買う」と言っていただけることを目指しています。これまで会議では「シェアが高くなった」ことに注目していましたが、今では「この後どうすれば商品を選び続けていただけるか」といった話が積極的にされるようになっています。結果的にユーザー数も非常に増えています。
また「選ばれ続けるブランド」になるには、「ブランドとしてどうあるべきか」つまりブランドのパーパスに共感していただくことが重要であり、パーパスドリブンマーケティングにも力を入れています。たとえば、グローバルプレステージブランドKANEBOの「化粧品を売っているのではない。希望を売っている」というパーパスに基づくメッセージには、商品を売って終わりではなく、生活者と向き合っていきたいという想いを込めています。一人ひとりの肌に“希望” を宿し、美しさをより引き出すという商品や世界観、メッセージ性などKANEBOの提案に対して多くの方々から大きな反響をいただいており、数字としての結果も出ています。
このように花王のDNAを守りつつ、現代の生活者に寄り添ったマーケティングを展開していきたいと思います。
