膨大なデータに向き合う時にAIが本領を発揮する
2005年頃、著者はブラウザベースマーケティングという考え方を提唱していました。その時点では、「会社で使っているPCと自宅で使っているPCは別人格だから、同一人物として紐づける必要はない」という程度のものでしたが、別人格化はデバイスとの向き合いレベルではないのです。カメレオン化をもっと分析してみる必要があるでしょう。
マーケティングにおいては、対象を何かで括るのが基本ですが、ヒトで括ることに限界があるとすると、ヒトの特定以外にもコンテンツ、コンテキスト、タイミング、位置情報などを総動員する必要があります。従来なら「やはりそうなのか……」と膨大なデータに向き合う苦労を想像してガッカリするかもしれませんが、ここでこそ、AIが本領を発揮します。さらには広告配信結果のデータを活かせるのです。
課題を創出するプロセスには意味がなくなる
従来はやりっぱなしでしかなかった広告のエグゼキューション。人力ではどうにもできなかったエグゼキューションを、AIを利用することで、次のステージに進めます。
AIは現状追認型の分析というより、需要予測をしてくれるでしょう。そうなると、「コンサル」→「プランニング」→「エグゼキューション」→「コンサル」のループにおいて、エグゼキューションから次の課題を創出するというプロセスは、AIにとって意味はなく、自然に最適化が回ることになります。
つまり「何が課題なのか」などということは、暇なら解明してみてもいいけれども、基本全く意味のないことになるでしょう。筆者の現役の時の話でなくて良かったです(笑)。解明することも筆者にとっては楽しかったですから……。次回は「従来型広告枠の効果減衰」について言及していきます。