AIの結果を鵜呑みにしてはいけない。常に検証しながら活用する
AIソリューションが様々な分野に拡大する中で、これからは広告にもAIソリューションがますます増えていくことだろう。しかしAIはあくまでも伴走者であり、すべての代替になることはない。その前提で利用者としての我々が心がけることは「AIソリューションをしっかり理解・使いこなすこと」だと田中氏は話す。ChatGPTでも、ハルシネーション(生成AIがもっともらしい誤情報を生成してしまうこと)があるのは周知の事実だ。だからこそ結果を鵜呑みにしないで使うことが重要だ。
ASCを使用すれば相対的にパフォーマンスが改善することは統計的には明らかになっている。しかし、ASCでどれほどの広告予算を使うべきかはパフォーマンスの改善度に依存するとみられる。「全体ではこのように結果が出ているが、改善の度合については広告主によって異なる可能性がある」と話し、田中氏は広告主自らがテストを実施して検証することの重要性について注意を促した。
「それぞれの広告主様でパフォーマンスが異なるため、最終的には自社にて“何が最適か”チェックをしていただく必要があります。これはMetaのAIソリューションでも例外でありません。技術的にも変化が早いからこそ、自らトライ&エラーすることが重要です」(田中氏)
切磋琢磨する環境が、クライアントへの貢献につながる
サイバーエージェントでは、“Meta×CA 共同研究プロジェクト”と題してMetaと一緒に広告改善に取り組んでいる。たとえば、Facebook Japanはもちろん、Metaの米国本社やシンガポールオフィスなどでプロダクト担当者と一緒にディスカッションを行うほか、サイバーエージェントのコンサルタントによる戦略発表の場で、Meta社員にフィードバック審査員として参加してもらっている。
加えてサイバーエージェントの子会社のクリエイティブ組織であるモノクラムと、サイバーエージェント、Metaでクリエイティブと施策を磨き込むための研究会も進めている。同3社は、施策のアイデア出しから一緒に取り組み、サイバーエージェント、サイバーエースから出た施策アイデアの中で良かったものを共有する場も設置。数多く出されたアイデアのうち、影響度や伸びしろを示唆し、検証や効果測定を行っている。
「“施策のアイデアを出す”といっても、急にぽっとすごいアイデアが出るわけではないので、日頃からのインプットとアウトプットが重要だ」と川添氏は語る。
サイバーエージェントの中で、ホットな話題が「ASCにおけるクリエイティブの多様性」だ。ASCはクリエイティブの疲弊が早いからこそ、バリエーションが重要だ。バリエーションの数を大きくするとよりASCの効果が出る。続けて川添氏は「ASCはクリエイティブとユーザーのマッチング精度が高いので、クリエイティブのバリエーションを増やすということは、より様々なバリエーションで、複数のユーザーに対してのアプローチが可能になるため、効果が出しやすくなる」と話した。
同検証について、田中氏も前向きだ。「クリエイティブのバリエーションを増やせば、CTRが下がるタイミングもずれるので、組み合わせによって総合結果が良くなっていくだろう」と応じた。