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ポストCookie時代の本格到来を乗り越える

ポストCookieはCPA偏重脱却のきっかけ 博報堂DYMPのプランナーが語る対策の分かれ道

ポストCookie施策が進まない理由と成功している企業の特徴

 第三の選択肢として挙げた、人を追いかけない方法には多くのアプローチがあり、解が見つけきれているわけではありませんが、MMMで成果を上げる最適な投資配分を精査したり、コンテンツの文脈を使ってターゲティングを行ったりするなどの手法が想定できます

 これらの手法は個人情報保護の観点で使えなくなるリスクがない上に、構築がうまくいけばCookieを使った手法よりも、より効果的で本質的なマーケティングを行える可能性があります。

マーケティング施策の事業貢献を分析するMMM(参照:マーケティングと売上の因果関係をAnalytics AaaSで解き明かす)
マーケティング施策の事業貢献を分析するMMM
(参照:マーケティングと売上の因果関係をAnalytics AaaSで解き明かす

 ただ、根本的な考え方が変わるからこそ、ビジネス活用のイメージがしづらいといったデメリットも挙げられるでしょう。特にMMMの理論では各施策と売上の関連性を理解しようとすると高度な数式が必要となるため、直感的には理解がしづらいといった面もあります。そのため、具体的な解決策が見えにくいケースも多いので、この部分は広告会社の腕の見せ所かなと思います。

——これらの手法が考えられているにも関わらず、ポストCookie時代に向けた対策が進まない原因はなんでしょうか。

 先ほど挙げた三つの手法のうち、今後の主流になるのは、1stパーティデータを活用する手法だと言われています。しかし、デメリットとして挙げたような環境整備の大変さが対策の進まない原因となっています。

 具体的に説明すると、1stパーティデータを使うには、お客様ごとに許諾を取らなければならず、データの取り扱いに関する整備フローの構築も必要となります。

 しかし、企業は縦割り組織になっていることが多く、各部署で顧客データを持っていても、部署を超えて共有ができていないことが多いです。そうなると、せっかく会社としてデータを持っていても本来横並びで行うべきデータ基盤の構築とその活用はなかなかうまくいきません。

——各部署が連携してデータを全社で共有していくことが重要なんですね。

 CTOやCMOなどの役職者が号令をかけて各部署を横断したセクションを作り、そこにある程度権限を持つ人をまとめて配置している企業では、ポストCookieへの取り組みが大なり小なり進んでいます

 ただ、その方法ではなくても、代理店やベンダーにデータ収集や構築を任せることで、対策に取り組んでいる事例も見られます。

広告会社に求められるのは、いかに企業が動きやすい状態を作るか

——広告会社の立場としては、ポストCookie時代に向けて今後どのような提案が求められているとお考えですか。

 大きく二つの動きが必要になってくるかと思っています。一つ目が、顧客がポストCookie施策に移行できない要因を排除し、かつソリューションをできるだけ多く用意するということです。

 クライアント企業が持っている1stパーティデータを使い、LTVが高い人の傾向を機械学習で導き、その結果をもとに広告配信を行うといった手法や、テレビのデータとデジタルのデータを統合して態度変容や購買推移を見ていくソリューションなどの提供も行っています。

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この記事の著者

佐々木 もも(ササキ モモ)

 早稲田大学卒業後、全国紙で約8年記者を経験。地方支局で警察や行政を取材し、経済部では観光や流通業界などを担当した。現在は企業のオウンドメディアの記事企画や広報に携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/26 09:00 https://markezine.jp/article/detail/45413

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