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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

デジタルで広がる、オフライン広告の可能性

2023年度に話題になった「オフライン広告」 事例から6軸の傾向を学ぶ

ファンの拡大が見込めるコラボ広告【コラボ】

 次に紹介するのは、2023年7月に展開された漫画「トリリオンゲーム」の広告。同作品はビッグコミックスペリオールに連載中のもので、主人公が友人と共に会社を立ち上げ、1兆ドルを稼ぐというストーリーで、同月にテレビドラマ化もされました。

トリリオ ンゲーム主人公のハルとサイバーエージェントのバトル演出がアツい

 ストーリーにならって同広告では、サイバーエージェントに対して「ゲームもメディアも、お前らの事業ぜんぶ俺らがいただく。」と記載。それに対して、サイバーエージェントが「やれるもんならやってみてください。」という広告を横に掲出し、バトルを演出していました。漫画の世界を飛び越え、実在する企業とコラボした事例でした。

 2024年2月に実施された不動産・住宅情報サイト「SUUMO」と人気ゲーム「モンスターハンター」のコラボ広告もおもしろい事例でした。

【クリックすると拡大します】
モンスターハンターをプレイしたことがある方なら、この住まいのチョイスに面白さを感じていただけるだろう

 同広告では、モンスターハンターのゲーム上に登場する5体のモンスターが、実際にSUUMO上で検索できる条件を使って、住まいの検索をしているビジュアルになっています。たとえば、雷をまとったモンスターである「雷狼竜 ジンオウガ」は、オール電化で家電付きの物件を検索しています。

 モンスターハンターをプレイしたことがある方なら思わず納得してしまう条件となっており、SNSでは各モンスターの条件へのツッコミも多く見られました。

 このようにコラボ広告には、コラボした先のファンを巻き込めるという良さがあります。一方、作品やサービスの世界観・イメージに影響する可能性もあるため、コラボ先は慎重に選ぶ必要があるかもしれません

作品の世界観を演出して他社との差別化を図る【特殊演出】

 最後に紹介するのは、作品の世界観を演出したり、他社と差別化する意味で特殊演出を施したりした広告です。

 2023年12月に掲載された、アサヒ生ビールの広告では、新聞の特性をうまく活かした演出で話題になりました。年末のタイミングで実施された同広告は、折りたたむことでタレントが乾杯するビジュアルになるように設計されています。

折りたたむ前(左)と折りたたんだ後(左)の様子

 単に広告として見てもらうだけでなく、紙媒体の特性をうまく活かした遊び心のある事例となっていました。

 2024年度に入り、次々と新たなオフライン広告媒体が運用を開始しています。最近だとデジタルサイネージの新設が目立っており、特に新宿駅改札内に設置された「新宿BBB」は、次世代を感じるサイネージ空間となっていました。

新宿駅に新設された「新宿BBB」。フレームレスのサイネージが印象的

 「新宿BBB」は、新宿駅改札内に設置されている「BOX」「BLOCK」「BELT」の3種類の特徴的なデジタルサイネージの総称です。駅改札内の空間全体に広がりを持って設置されている点が特徴で、BOXからは音を出すこともできます。インパクトのある映像や空間演出によって没入感のある広告体験が可能です。

 実際に現地で見るとその迫力には驚かされます。特にBOXは、駅前などにある大型ビジョンが真正面に設置されているような印象で、映像の躍動感や勢いをダイレクトに感じることができます。海外の旅行者の方が物珍しそうに写真を撮っていた姿が印象的でした。

BOX(中央)とBLOCK(左)。クリエイティブの難しさはあるが、演出の幅が広がった印象がある

 2024年度はサイネージの動向が個人的に楽しみな年です。引き続き、広告巡礼を通して広告トレンドをウォッチしていこうと思います。

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この記事の著者

加藤 誠也(カトウ セイヤ)

株式会社ビズパ アドクロ編集長

 食品メーカーで営業職を経験後、2019年に同社入社。主に、編集長として広告・マーケティングの情報メディア「アドクロ」のコンテンツ制作を担当。「広告巡礼」を日課としており、Xでは見つけた広告事例に考察を添えて発信、テレビ出演やセミナー登壇も多数。 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/05/16 09:00 https://markezine.jp/article/detail/45441

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