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「サステナブルだけで顧客は買わない」「年齢や性別でセグメントしない」KAPOK JAPAN独自の戦略

 Webが生活の一部になったことで消費者の興味・関心は細分化され、単一のメッセージを広く発信するだけでは消費者を動かすのが難しくなってきた。この状況でマーケティングの課題を解決し、売上拡大に必要な概念「BX(Brand Experience:ブランド体験)」をテーマに、wevnal代表の磯山氏が各社の考え方や取り組みを伺う本連載。第14回は木の実由来のサステナブルな素材を使用したアパレルブランドを展開するKAPOK JAPANの代表 深井喜翔氏に話を聞く。

利益と社会貢献を両立できる事業を作る

磯山:KAPOK JAPANは、木の実由来の新素材「カポック」を使用したアパレルブランド「KAPOK KNOT」を展開していらっしゃいます。先程コートを着させてもらいましたが、すごく軽くて驚きました。

深井:コットンの8分の1という軽さと、ダウン並みの温かさが特長です。木の実なので、木を伐採する必要もありませんし、アニマルフリーなダウン代替素材として提供しています。

KAPOK JAPAN株式会社 代表取締役 深井 喜翔氏
KAPOK JAPAN株式会社 代表取締役 深井 喜翔氏

磯山:元々そういったサステナブルな事業を展開する予定だったんでしょうか?

深井:そうですね。利益を生み出しつつ、社会に貢献するビジネスを追求したいと考えていました。

 「服を大量に作り売って、その利益を社会に還元する」という風に事業と社会貢献を分けるのではなく、「本業で稼ぐこと自体が社会貢献にもつながる」形を目指しています。

磯山:事業で出た利益の一部をCSRに回すのではなく、事業自体が社会貢献になっているのですね。そうした事業を模索される中で、「カポック」という素材に着目されたきっかけはなんだったのでしょうか。

深井:最初に就職した会社で、日中空いている月極駐車場を時間貸しで貸す事業を展開していたんです。その中で、社会的に余っている「遊休資産」と「社会課題」を結び付けてビジネスができないかと考えていました。

 また、私の親戚は130年続くカシミヤの毛織物メーカー「深喜毛織」を経営していて、素材にルーツがありました。そのため、素材に関わるビジネスも模索していました。そして、遊休資産となっている素材を探す中で出会ったのが「カポック」だったんです。

アパレル業界のロジックを変えるイノベーション

磯山:そのカポックを用いて「ダウンはモコモコして重たい」というユーザー課題や、「服の大量生産・大量廃棄」という社会課題を解決できると考えたわけですね。

深井:余っているものとユーザーの課題、マイナスとマイナスを掛け合わせてプラスにしていくという点でバチッとはまって、「これだ!」と思いました。

磯山:利益と社会貢献の両立を実現するのは、実際には難しいことだと思います。両立を実現する上で意識していたことはありますか。

深井:「環境に配慮している」以外の価値を作ることですね。以前生地の営業もしていたんですけど、リサイクルや環境保護に配慮した価格の高い生地を消費者が実際に買ってくれるかというと、買わないんですよね。「環境に配慮しているなら高くても買おう」とはならないのが現実です。

 ただ環境に良いだけではビジネスにならないので、何かしらのイノベーションが必要になります。それで、カポックという「素材のイノベーション」と、一部受注生産にすることで安く作れるクラウドファンディングという「生産システムのイノベーション」を掛け合わせました。そして生まれたブランドが、KAPOK KNOTです。

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この記事の著者

磯山 博文(イソヤマ ヒロブミ)

株式会社wevnal 代表取締役

 2008年大手インターネット企業に新卒で入社し、メディアレップ事業、新規事業開発に携わる。2011年4月に株式会社 wevnal を創業し、LTV最大化を実現するBXプラットフォーム「BOTCHAN」を展開。累計導入社数は600社を超える。

 12期目を迎えた20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/05/29 08:30 https://markezine.jp/article/detail/45510

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