重要なのは自社の顧客・カテゴリ・独自性を言語化し、認識を揃えること
――両社は創業初期から“インテントセールス”のカテゴリ創出を目指し協業していたと伺っています。その背景について教えてください。
小笠原:susworkの田岡さんと初めてお会いしたのは2022年ごろでした。弊社がシード期を終えシリーズAに差し掛かるタイミングで、さらなる成長を目指すための戦略を考えていたところに、知人から田岡さんを紹介いただきました。
田岡さんへ私たちの抱えていた課題をお話ししたところ、マーケティング戦略のワークショップを実施してくださり、WHO/WHAT/HOWを整理することができました。
お会いした際に「チーム全体でマーケティング戦略、WHO/WHATに対する認識を揃え、言語化することが最も重要」と話していただいたのですが、実際にワークショップを通じてマーケティング戦略の目線を合わせることができました。そこから田岡さんには、Sales Markerのマーケティング戦略について外部顧問をお願いしています。
田岡:小笠原さんに初めてSales Markerのお話を伺った時は、画期的なサービスだと感じました。ただ、メッセージングに改善の余地があり、お客様にその魅力を最大限理解してもらいきれていないと感じました。
そのため「Sales Markerとは一言でいうと何か?」というカテゴリと独自性を的確に表現すれば、市場を変えていくようなサービスになれるだろうという予感がしました。
そこでマーケティング戦略ワークショップを行い、その後の伴走を通じてカテゴリ戦略を描いていきました。
「値決めと価値が定まる」スタートアップにカテゴリ戦略が必要な理由
――スタートアップ企業にとって、カテゴリ戦略を描くことがなぜ必要なのでしょうか。
田岡:カテゴリを定義・創出することは急成長するスタートアップの命題と言えるくらい重要です。スタートアップがステークホルダーから望まれているのは、社会の課題を解決しながら高い成長率でグロースしていくことであり、そのためには社会や経済の環境変化から生まれてくる新しいマーケットを捉え、カテゴリを再定義・創出して圧倒的なシェアを獲得することが求められます。
カテゴリを創出するためはWHOとWHAT、つまり「誰に何を売るか」を定義する必要があり、そこが決まると必然的にプライシングも固まります。「値決めは経営」と言われるくらい、プライシングは企業のビジネス規模や可能性を大きく変えるためとても重要です。
スタートアップ初期では、多くの場合、イノベーターと呼ばれる新たな価値に敏感なユーザーがメイン顧客となってきます。彼らは詳細を説明しなくともプロダクトを見て、その便益を読み取り、サービスの導入を決定できます。
しかしイノベーター以外の多くの顧客にとって、新たなサービスはなかなか理解しにくいものです。
そのためスタートアップは、自社が何の課題を解決するサービスを、誰に向けて売っているのか、見失ってしまうことが多くあります。これでは高い成長率でサービスをグロースできません。
そうならないために創業時からWHOとWHATを定義し続け、カテゴリの勝ち筋を見つけていくことが重要となってくるのです。