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生活者データバンク

デジタルメディアとシニア層~メディアログが明かす現在(いま)~

 ターゲットに効率よくメッセージを届けるメディアプランニングは、嗜好やライフスタイルの多様化にともない、日に日に難易度が上がっています。その傾向は50~60代を中心としたシニア層でも見られています。これまでテレビCMが最も効果的なコミュニケーション手段だったシニア層ですが、スマートフォンの利用が浸透し、デジタルメディアとの接点も強固になりつつあります。本記事では、メディアの利用ログを取得しているインテージシングルソースパネルi-SSPのデータを活用し、シニア層におけるデジタルメディアの利用実態を探ってみました。

スマートフォンの利用浸透が進む高年齢層

 まず、高年齢層がどのようなメディア、コンテンツに触れているのかを見る前に、スマートフォンの利用率を確認していきましょう。

 図表1は、インテージで年に1度アンケート調査をしている「デバイス利用率調査」におけるスマートフォン利用の結果を、2017年から時系列トレンドで整理したものです。月1回以上の利用を利用者と定義して集計しています。

 利用率は全年代で上昇しており、若年層は非常に高い値で高止まりしています。しかし、注目すべきなのがグラフ下部で急激な上昇をしている高年齢層です。

 特に60代は2017年と比較すると31ポイントも上昇しています。新型コロナウイルス流行にともなうデジタルコミュニケーションの普及もあり、スマートフォンがより身近な存在になっている様子がうかがえます。

図表1
図表1:スマートフォン 年代別利用率推移(クリック・タップで拡大)
出典:インテージメディアライフレポート
データソース:インテージシングルソースパネル デバイス利用率調査
調査手法:RDD調査
調査期間:毎年10月~12月に実施
調査対象:全国男女15-69歳
ベース:全員
サンプルサイズ:約6000sで毎年実施
※月1回以上利用を利用と定義

 では続いて、デバイス利用の「奥行」を示す利用時間を確認しましょう。図表2は、i-SSPで取得している操作ログをもとに、スマートフォンの利用時間がどのような推移になっているのかをまとめたものです。

図表2
図表2:スマートフォン 1日当たり1人あたり平均利用時間(クリック・タップで拡大)
出典:インテージメディアライフレポート
データソース:i-SSP(インテージシングルソースパネル)
       MBログデータ(Androidのみ)
収集手法:機械式(ログデータ)
調査対象:全国男女15-69歳
指標:1日当たり1人あたり平均利用時間(分)
集計期間:2017年1月~2023年12月
※月1回以上利用を利用と定義

 利用時間も利用率と同様に、すべての年代でゆるやかに増加しており、2019年を境に大きく増加しています。特に10代の利用時間は長く、2023年では1日の約5.7時間はスマートフォンを使っているという結果になりました。

 他の年代と比べると利用時間は少ないように見える高年齢層も、2023年では1日あたり約190分、3時間近くスマートフォンを利用している形になっています。これは2017年と比較すると約1時間増えており、利用率の急激な上昇も考えると、利用時間も今後ますます増えていくことが考えられます。

高年齢層が使っているアプリ、見ている動画

 続いて、高年齢層がスマートフォンで何をしているのかを見てみましょう。図表3は、スマートフォンでどのようなアプリを使っているのかを集計したものです。

図表3
図表3:スマートフォンアプリ利用時間ランキング(クリック・タップで拡大)
データソース:i-SSP MBAndroid ログデータ
収集手法:機械式(ログデータ)
調査対象:全国男女15-69歳
指標:アプリ別1日当たり1人あたり平均利用時間(分)
集計期間:2023年1月~2023年12月
※月1回以上利用を利用と定義

 トップには検索ブラウザのGoogle Chrome、次点でSNSのLINE、3位には動画サービスのYouTubeが入っています。

 実は、他年代で同様に利用時間のランキングを出すと上位は高年齢層とほぼ同じとなり、検索ブラウザ・動画サービス・SNSといったカテゴリーが上位に入ってきます。年齢が異なったとしてもスマートフォンで使われているアプリには大きな差がないことがわかりました。

 ここからは更によく使われているアプリにフォーカスを当てて、高年齢層がデジタルメディアをどのように使っているのかを確認していきましょう。

 まず、高年齢層の利用時間が3位のYouTubeでどのようなコンテンツが見られているのか探るために、i-SSPで確認できるiOSのモニターにリーチしているYouTubeチャンネルを調査しました。図表4は、その中でも視聴が多かったチャンネルを年代別に集計したものです。

図表4
図表4:iOSユーザー 接触YouTubeチャンネル TOP10(クリック・タップで拡大)
データソース:i-SSP MBAndroid ログデータ
収集手法:機械式(ログデータ)
調査対象:全国男女15-69歳
指標:iOS Youtubeチャンネル 接触率
集計期間:2023年10月~2023年12月

 ランキングを見ると、全年代でニュース系のチャンネルが上位に入っています。また、年代別の特徴を見ていくと、10-20代は映画やバラエティといったエンタメ系のチャンネルが比較的多く、30-40代にも同様の傾向が見られます。

 一方、50-60代の高年齢層はランキングのほぼすべてがニュース系チャンネルとなっており、視聴している動画コンテンツでは差が見られることがわかりました。

 テレビの接触率でも、高年齢層は情報ワイドショーやニュース番組に多く接触していますが(図表5)、スマートフォンを用いてYouTubeでもニュース系のコンテンツを視聴しています。そのため、高年齢層のメディア利用の大きな目的は「ニュース」を視聴することにあるのかもしれません。その点では、速報性の高いデジタルメディアと高年齢層のニーズは合致しているといえます。

図表5
図表5:高年齢層TV接触率ジャンルランキング TOP5(クリック・タップで拡大)
データソース:i-SSP TV ログデータ
収集手法:機械式(ログデータ)
調査対象:全国男女50-69歳
指標:テレビ視聴ジャンル別 接触率(3か月平均)
集計期間:2023年10月~2023年12月
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この記事の著者

脇田 光(ワキタ ヒカル)

株式会社インテージ 事業開発本部CXマーケティングプラットフォームユニット 次世代消費者パネル事業開発部

 2016年大学卒業後出版社の営業を経験、その後ネットリサーチを主力とした調査会社で集計業務に従事し、2022年2月にインテージに入社。

 パネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/05/20 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45554

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