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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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【特集】ターゲティング大変革期の到来

運用型広告をハックしてきた広告代理店のこれから

 AI技術の進歩により、広告運用の自動化が進んでいる。今後ますます精度が高くなっていく中で、これまで運用型広告をハックしてきたデジタル系広告代理店に求められる介在価値はどのように変わっていくのだろうか。インターネットの黎明期からネット広告の普及、理論化、体系化に取り組んできた横山隆治氏に聞く。

※本記事は、2024年7月刊行の『MarkeZine』(雑誌)103号に掲載したものです

命運を握る運用人財のリスキリング

 デジタル系広告代理店と言うと、以前はサイバーエージェント、オプト、セプテーニが3大エージェンシーだったと思います。元々は「ネット専業」と言われ、いわゆる獲得系広告主の需要を拡大してきました。しかし、その規模やカラーの違いが鮮明になってきました。

 サイバーエージェントはエージェンシー、ゲームメーカー、デジタルメディアの3つのビジネスがお互いに相乗効果を生むに至っています。世界的に見ても極めて稀有なエージェンシーです。AIにも先頭を切って取り組んでいます。まずは比較的容易なバナーなどのクリエイティブに始まり、動画もそのクオリティを進化させていくでしょう。サイバーエージェントはとうに獲得系対応代理店を脱して、デジタルを中核にブランディングにも対応できるエージェンシーになった唯一の旧ネット専業です。テクノロジーにも強く、広告主から見ても魅力のあるエージェンシーです。

 オプトは電通傘下から外れて独自路線を模索していきましたが、ネット広告代理店オプトのDNAをどう新事業に展開するかは未だ迷走しているように見えます。セプテーニは電通傘下に入ったことでグループの中のひとつのピースにうまくはまった感があります。買われる戦略というものもありますが、うまく取り込まれたと思います。

 デジタル系代理店と敢えて言うなら、サイバーエージェントの存在と今後が広告業界への影響を及ぼすことでしょう。

 運用にスキルのある人財が大量に必要だった時代は、それに特化した陣容をいかに確保するかが重要でした。はっきり言って彼らに運用だけをやらせて、バーンアウトを予防したり、次のキャリアステージを提示したりすることがありませんでした。せっかく広告業界に希望をもって入ってきた若い人たちをあまり大切にできなかったことについて、業界は猛省すべきでしょう。

 こうした時代はおそらくAIによって大きく変わるはずです。広告業界ではAIこそまずはデジタル広告の運用に活用され、この作業から人を解放するものと思われてきましたが、最初に直撃したのはクリエイティブでした。生成AIは世の中を驚かせましたが、AIは汎用型から特化型にどんどん進化するので早晩広告運用はAIの独擅場になるでしょう。

 さて、そうなると運用のために大量に採用してきた人財の再活用をどうするのでしょうか。この運用人財のリスキリングこそが、いわゆるデジタル系代理店の命運を握ります。この状況を脱しているのはサイバーエージェントだけです。

 その他のデジタル系は運用人財の次のスキルを明確に定義し、早急に彼らのリスキリングを果たさなければなりません。ただその方向性は、各エージェンシーによって違うでしょう。

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この記事の著者

横山 隆治(ヨコヤマ リュウジ)

横山隆治事務所 代表取締役
ベストインクラスプロデューサーズ 取締役
トレンダーズ 社外取締役

1982年青山学院大学文学部英米文学科卒業。同年、旭通信社(現・アサツー ディ・ケイ/略称:ADK)に入社。インターネット広告がまだ体系化されていなかった1996年に、日本国内でメディアレップ事業を行う専門会社「デジタル...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/07 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45601

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