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『MarkeZine』(雑誌)

第104号(2024年8月号)
特集「社会価値創出につながる事業推進の在り方とは?」

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【特集】ターゲティング大変革期の到来

“レコメンド疲れ”した生活者にセレンディピティを LINEヤフーが目指す新たな広告の届け方

 ターゲティング技術の進化により、生活者は膨大な情報の中から自分の興味に沿ったものを受け取ることができるようになった。しかしその一方で、顕在化したニーズ以外の情報と出会う機会が減り、あらゆる情報が過度にパーソナライズされたことで、“レコメンド疲れ”も生まれている。こうした中、LINEヤフーではユーザーと情報の新しい出会いを創出する「セレンディピティ・マーケティング」を提唱し、「Yahoo! JAPANトップページ」と「Yahoo! ニュース」の閲覧データを活用したソリューションの提供を開始した。LINEヤフーで本取り組みをけん引する宮村壮氏に、開発背景にある業界課題からセレンディピティ・マーケティングに懸ける思い、活用事例や成果について尋ねた。

※本記事は、2024年7月刊行の『MarkeZine』(雑誌)103号に掲載したものです

生活者に「レコメンド疲れ」が起きている

──御社が提唱する新たなマーケティング手法「セレンディピティ・マーケティング」とはどのようなものでしょうか?

宮村:「セレンディピティ」とは「偶然の出会い」を意味する言葉です。よってセレンディピティ・マーケティングとは、その名のとおり「思いがけない、偶然の出会いをもたらすマーケティング」という概念になります。

 当社がこの概念を提唱する背景には、リターゲティング広告に代表されるような、CPA偏重のデジタルマーケティングの加速があります。顕在層に向けたレコメンドやサジェストは、AI技術の進化も手伝って精度を増しています。しかし、中にはそういった広告に「追いかけられている」といったネガティブな印象を抱くユーザーもおり、さらには「レコメンド疲れ」を起こしているという調査結果もあります。

 本来マーケティングには、ユーザーが潜在的に知りたかった情報や商品との出会いを創出する役割もあったはずです。そういったマーケティング本来の機能やユーザー目線に立ち戻ろうという想いを込めて、セレンディピティ・マーケティングを提唱しました。

LINEヤフー株式会社 マーケティングソリューションズカンパニー プロダクトマーケティング本部 プロダクトマーケティング1部 及び ストラテジック・デザイン部 部門長 宮村 壮(みやむら・そう)氏 2015年ヤフー(当時)に入社。広告営業から営業企画へと対応領域を拡大し、販売推進部の部長職などを経て現職に。開発責任を担うプロダクト部門と販売責任を担うセールス部門の架け橋となる営業企画組織で部門長を務め、直近ではLINE広告とヤフー広告の横断的な戦略の検討も担っている。

LINEヤフー株式会社 マーケティングソリューションズカンパニー
プロダクトマーケティング本部 プロダクトマーケティング1部 及び ストラテジック・デザイン部 部門長
宮村 壮(みやむら・そう)氏

2015年ヤフー(当時)に入社。広告営業から営業企画へと対応領域を拡大し、販売推進部の部長職などを経て現職に。開発責任を担うプロダクト部門と販売責任を担うセールス部門の架け橋となる営業企画組織で部門長を務め、直近ではLINE広告とヤフー広告の横断的な戦略の検討も担っている。

──具体的には、どのようなソリューションを提供されているのですか?

宮村:当社では、「枠」軸と「人」軸の2つのソリューションでセレンディピティ・マーケティングを実現しています。

 1つ目の「枠」を軸としたソリューションとしては、「Yahoo! JAPANトップページ」の「Yahoo!ニュース トピックス(以下、トピックス欄)」の中で、「Yahoo! JAPAN トップページ トピックス PR SP(以下、トピックスPR)」という広告枠を設け、2023年10月から正式提供しています(図表1)

図表1 「Yahoo!ニュース トピックス」内のプロモーション枠
図表1 「Yahoo!ニュース トピックス」内のプロモーション枠

宮村:トピックス欄は、ユーザーが「今世の中で何が話題になっているのか知りたい」というモチベーションで閲覧するもので、そこで企業のニュースやPR記事をご紹介いただける広告枠になっています。

 トピックスPRは、かけられるターゲティングがデモグラフィックターゲティングのみなので、ユーザーの興味の外側で接触できるという特徴があります。また、ネイティブ性が高くユーザーが受け入れやすい広告体験になっています。さらに、トピックス欄の中にあることで、ユーザーが気になるタイトルをタップして記事を読むという行動が自然に起きるため、CTRが高いことも特徴です。

 もう1つの「人」を軸にしたソリューションは、「ニュース閲覧ターゲティング」という新しいターゲティング手法です。こちらも2023年10月にリリースしました。これは「Yahoo!ニュース」の閲覧データをもとに、ご指定いただいたテーマに関連するニュース記事を閲覧したユーザーに広告を配信する仕組みです。当社では、記事1本1本にニューステーマのフラグを付けており、そのテーマに紐づく記事を分析し配信できるデータベースが整っています。

 従来のデジタル広告のターゲティングと異なり、「検索するほどではないが、何となく気になっている層」にアプローチできるのが特徴です。顕在層向けのリターゲティングと、ノンターゲティング・デモグラの中間に位置する手法と言えます。

 たとえば、SDGsに興味のある人は、自ら「SDGs」と検索することはあまりないはず。一方で、SDGsがテーマのニュースをよく閲覧している可能性はあります。年齢・性別といった属性でも検索履歴でもなく、潜在的な価値観を捕捉してアプローチできる点は、ニュース閲覧ターゲティングならではだと考えています。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/07/30 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46214

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