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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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【特集】ターゲティング大変革期の到来

人の動きからは単純な位置情報だけでなく、興味関心・親和性も導き出せる

 ターゲティングに活用できるCookie以外のデータとして次に紹介するものが人流データ・位置情報だ。コロナ禍以降、改めて「人の動き」が注目され、単純なプッシュ型の広告以外に出稿後の効果測定もセットになった活用も期待され、利用の幅が広がっている。データ活用の動向を株式会社unerry 取締役 CMO内山 麻紀子に取材した。

※本記事は、2024年7月刊行の『MarkeZine』(雑誌)103号に掲載したものです

人流データ活用の変化

──「データを駆使したターゲティング」の在り方が変化しています。御社は現況をどう捉えていらっしゃいますか?

 各種プラットフォーマーのCookie規制の対応が当初発表のスケジュールから後ろに倒れています。仕組みを急に変える難しさと、プライバシー対応の必要性の間で誰もが揺れ動いている最中だと感じます。しかし、Cookieが規制される方向は既定路線なので、代替サービスや、Customer Data Platform(CDP)などは改めて活況になっている印象です。

──この状況で御社の人流や位置情報というCookieを使用しないデータは、どのようなポテンシャルをお持ちだとお考えですか?

 unerryは、許諾されたデータの取得と、個人を特定しない形での活用を行っています。具体的には、位置情報の技術をスマートフォンアプリに組み込むSDK(開発キット)を提供しています。その際に、ユーザーからの許諾(オプトイン)取得について、機能提供やその活用法だけでなく個人関連情報の観点での重要性やプライバシーに配慮した業界ガイドラインなどもお伝えします。そのようなことへのご理解のもとSDKが利用されているアプリが120以上あり、国内では約1.5億IDの人流データがほぼリアルタイムに蓄積されている状態です。

 1st Partyの膨大な位置情報に対する周囲の期待感は、この数年で変化していると感じます。以前は店舗の近くに来た人に対してデジタルチラシ的に情報配信できる広告程度の認知で、位置情報は広告業界の中でも比較的ニッチな存在でした。コロナ禍に人の動きが注目されたことで、人流や位置情報をデータで捉えてマーケティングに活かしたいと考える方が増えました。

 利用が増えた結果、適切な人に適切なものを伝える価値が広がりました。そして現在は、ターゲティングをした結果の効果計測も位置情報や人流データの活用として求められている状況です。広告配信した結果、人が実際に来訪したのかを計測したいニーズが、位置情報広告以外の広告でも広がったと感じています。

──具体的な位置情報や人流データの活用の変遷を教えてください。

 初期の位置情報広告は特定の位置に来た人に通知が飛ぶというものでした。それがリアルタイムであったり、ヒストリカルデータ(特定の位置に来たことがある)に基づくものであったり、という具合です。そこから、弊社の場合は、単純な位置情報だけでなくPOI(Point of Interest:地図上の特定の地点)を管理するようになりました。この位置によく来る人ではなく、たとえば、「ジムによく行く健康意識の高い人」と解像度を上げたのです。すると、行動をベースにしたアフィニティー(affinity:親和性)に基づいた広告が増えてきました。

 そして現在は、アフィニティーに基づいた広告によって、その人はお店に来たか? を計測するところまでがセットになっています。私たちの技術ならば店舗に来たかどうかも、データでわかるためです。さらに、リテールメディアの観点での期待も高まっています。どのお店にどんな方がどんなタイミングで来るかがわかれば、メーカーや流通が活用できます。

 加えて、「なぜその行動をとったのか?」も重要な観点です。人流データをハブにして、様々なデータと掛け合わせることで、これまでにない発見ができるようエコシステムを構築し、サービス化させています。これらの動きが1〜2年で急加速している状況です。

──データを掛け合わせることで、どのようなことがわかるのでしょうか?

 たとえば、テレビ視聴データと購買データと人流データを掛け合わせることで、「テレビCMを見た後に来店をした人が、こんな商品を買いました。これまでとは違う購買行動はここです」ということがわかるようになります。

 そこから、CMを打つ時間帯を変えたり、コンテンツを変えたりといったコミュニケーション設計を考えることができます。ライフスタイルや行動からわかる興味関心によるコンテンツ設計やターゲティングと、施策を行った後の評価ができるわけです。

 また、広告を打った後の人の動きが把握できるなら、CRMで使いたいというニーズも当然あります。たとえば、ツールを介してLINEに情報配信をする際に、来店頻度に合わせたコミュニケーションを行うことで最適化するBeacon Bank for LINEを当社では提供しています。また顧客コミュニケーションを利用する企業様もいらっしゃいますので、BrazeやKARTEといったプラットフォームとのソリューション連携も進めています。

──人流データについて素朴な質問をさせてください。環境やライフステージによって人間の行動は変わるものです。その変化はどう捉えているのでしょうか?

 人の動き自体はほぼリアルタイムでわかるので、たとえば、「これまでは来ていなかった場所に来るようになった」といった情報は半自動で検知しています。また、本屋さんが好きだった人がアクティブに様々な場所に行くようになったとしたら、アフィニティーも変化している可能性が高いです。AIを用いて、行動傾向から興味関心の再評価を定期的に行うようにしています。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/01 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46393

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