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マーケター必読!論文のすすめ

イノベーションを担う「企業家」とマーケティングを取り巻く、重層的な課題とは【論文紹介】

 日本マーケティング学会が刊行する『マーケティングジャーナル』の内容を噛み砕いて、第一線で活躍中のマーケターに向けて紹介する本連載。今回のテーマは「企業家マーケティング」です。イノベーションの担い手である企業家について、その重要性やマーケティングに関わる重層的な課題について考えます。

企業家がマーケティングにおいて果たす役割

 この記事は、日本マーケティング学会発行の『マーケティングジャーナル』Vol.43, No.4の巻頭言を、加筆・修正したものです。

 日本の産業や社会において、「企業家」の役割はますます重要になっています。企業家はイノベーションを通じて、生活の質の高度化や、事業の生産性の向上などを実現します。現在では、企業家を対象としたマーケティング研究は、重層的な課題をめぐって展開されるようになっています。

 日本マーケティング学会の学会誌『マーケティング・ジャーナル』Vol.43 No.4は、この企業家マーケティングの重層性を踏まえた4つの特集論文を収録しています。

 本特集では、イノベーションの担い手とマーケティングをとり巻く問題を多面的に取り上げたいと考えました。そこで本特集を「企業家マーケティング」と名づけました。より詳細には、本特集ではマーケティングを通じてイノベーションを促進する企業家的行動の活性化をめぐる、重層的な課題の提示に取り組みます。

「企業家」と「起業家」

 企業家とは、アントレプレナー(entrepreneur)の翻訳語です。日本語の文脈では、このアントレプレナーの翻訳語としては「起業家」という語も広く用いられます。学術誌などでは「企業家」を使用することが多く、産業界に近い新聞などの媒体では「起業家」の使用が主流だという研究結果もあります。とはいえ、この2つの語は共通してイノベーティブな企てを実現する人を意味しており、この点においては企業家も起業家も同じだという理解もあります。

 こうした共通性がある一方で「起業家」という語に関しては、新しい事業を起こす人、つまり会社の創業者という意味合いが強くなります。しかし、イノベーティブな企てを実現する人の中には、会社の創業者ではないが営利企業やNPOなどの組織の中で新しい事業の立ち上げなどに関わりながら新機軸を導入したり、事業を再構築したりすることに挑む人も少なからずいるわけです。「企業家」は、この会社の創業者ではない人も含めた、イノベーションの担い手を総称する際に用いられる語です。

 そしてイノベーションには、大別すると、技術の新規性に由来する「テクノロジー・イノベーション」と市場の新規性に由来する「バリュー・イノベーション」があります。その中にあって、マーケティングが主導するのは、バリュー・イノベーションです。

 このバリュー・イノベーションを推進する企業家にとって必要な動機や能力は何か、そしてこれらの動機や能力はどのような環境のもとで発揮されるかについては、まだ十分に理解されていない問題だといえます。

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この記事の著者

栗木 契(クリキ ケイ)

神戸大学大学院 経営学研究科 教授 1966年、米・フィラデルフィア生まれ。1997年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(商学)。2012年より神戸大学大学院経営学研究科教授。専門はマーケティング戦略。著書に『明日は、ビジョンで拓かれる』『マーケティング・リフレーミング』(ともに共編著)...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/05/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45647

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