組織の全体最適は、データ統合だけでは成し遂げられない
MZ:松永さんは、デジ戦での取り組みを通してどんなことを感じていますか。
松永:同じ部にITとマーケティングのメンバーが共存することは珍しいと思いますが、私はそこが魅力の一つだと考えています。
なぜなら、多様なメンバーと関係を作ることで全体最適に近づけるとともに、一人ひとりの思考の幅も広がっていくからです。私自身も実際にメンバーとなってから、視野が豊かになったと実感しています。
またデジ戦では、勉強会以外にも「ナイストライ賞」を設けています。その名の通りメンバーの挑戦を月一で評価する賞で、成果に関わらず立ち向かう姿勢が素晴らしかったり、示唆が得られたりした場合に表彰をしています。ナイストライ賞を通じて「デジ戦にはこんな考えを持つ人がいるのだ」と気付きが生まれ、新たな出会いにつながります。これによって、組織の最小単位である人の成長にも結び付くと考えています。
MZ:これまでのお話で度々全体最適というキーワードが出ましたが、デジ戦設立後のデータ整備だけでなく個々のメンバーという視点でも、色々取り組まれているのですね。
松永:はい。全体最適はデータ統合だけでは成し遂げられないと思っています。組織にはスペック的な側面とカルチャー的な側面があり、データ統合はスペック的な側面での統合しか実現できないためです。
個人の持つ能力をどう活かすか、掛け合わせるかを決めるのは、とても大変なことです。人を蔑ろにするとデータ統合は難しく、できてもドライブしにくい。だからこそデジ戦では、人の掛け合わせや成長に焦点を当てています。
予想外にこそ、顧客体験向上のヒントがある
MZ:マーケティングにおいて全体最適を実現する上で、データなどのスペック面と人の持つ力やカルチャーの両方が重要な要素だということですね。
松永:はい。デジ戦での活動を通して、私はそう感じています。加えて、様々な人がそれぞれのユニークネスを発揮することは大事ですが、あくまで企業やブランドとして同じ方向を向いていることが欠かせません。そのための目安となるものを組織全体で共有していくことも、マーケティングにおいて大切なポイントだと思います。
またマーケター個人の目線でいえば、目の前の業務だけでなく、その先にいる顧客に想いを巡らせ、体験いただく価値をどうしたら高められるかを考え抜くことが大切です。当たり前のことですが、これが結構難しい。だから自身の視野を豊かにし、はじめにお話ししたような「予想外を楽しめる力」を身に着けることが有効なのだと考えています。組織やシステムのサイロ化によって視野が狭まりそれが阻害されることのないように、デジ戦は統合組織として設立され活動の幅を広げているのです。
MZ:最後に、今後の展望をお聞かせください。
松永:私たちは、「一人ひとりが常にチャレンジし、既存の枠組を超え、新たなイノベーションを生み出す」というデジ戦のビジョンの実現に向けて動いています。デジタルとテクノロジーを用いて顧客体験の向上を実現するためにも、一人ひとりが将来を見据えて考え、行動していく必要があると思っています。
マーケティングでは非合理なこと、予想外なことに向き合う力を高めることが、顧客体験向上につながるのではないかと考えます。デジタルやテクノロジーの力を最大限活かしながら、お客様や協力会社の皆様、そして社員、それぞれの人を大切に、今後もデジ戦でビジョン実現や組織拡大の推進に取り組んでいきます。