コミュニティ運営の方針とKPIは
──現在、どういったチーム体制と方針でコミュニティを運営されているのでしょうか?
川久保:2020年に2名体制だった専任チームが解散した後、2021年にイベントの必要性が見直されることになったため、できる範囲で続けてきました。そして、改めてコミュニティを運営する社内チームの名称を「Fan Growth」から「Fun Experience」に変更し、チームで本格的に再始動して、現在は兼任の5名が携わっています。
──なぜ、チーム名称を変更したのでしょうか?
川久保:「ファンを増やす」はプレイド目線の話で、Friends側からすると、ファン化は企業側から強制されるものではありません。「Fan」ではなく「Fun」、つまり「楽しい」と思える体験を増やせば自然とファンになっていただけるのではと、チームで話して決めました。
松田:イベントだけでなく、Friendsに差し上げるグッズも数々用意しているのですが、これも「仕事が楽しくなったらいいな」という気持ちで考えています。
【写真右】「仕事で使えて、もらったらうれしいもの」としてアイデアが出た歯ブラシ
──コミュニティ運営に関して、KPIを設定されていますか?
松田:よく他社様からKPIについて質問をいただくのですが、実は決めていません。たとえばファンの数がKPIになるのかもしれませんが、我々の目的や活動の本質とは異なるからです。とはいえ定期的にイベントを開催することと、その開催数を増やすことは自分たちに課しています。
ちなみに、マーケティングコストの観点で言うと、Meetupであれば原価はほとんどかかりません。軽食を用意しても、皆さん会話に夢中で余ってしまい、終わった後に運営メンバーやオフィスにいる社員たちで食べてしまうこともしばしばです(笑)。
──イベント参加者の今後の成果につながることを考えているとのことですが、プログラムの内容で何か工夫をしていることはありますか?
松田:Meetupで、登壇される方にお伝えしていることがあります。それが「施策を考えるときにどういったことに悩んだのか」「ミーティングで何を話し合ったのか」など、トライの過程を知りたい、ということです。
私自身、ユーザーとしてMeetupに参加した時に「その業界だからできる」「あの会社だからできる」とうらやましく思った経験があって(笑)。施策の結果だけを聞きたいわけではなくて、悩んでいる過程を知りたかったのです。業界やビジネスモデルが違っていても、同じ目線で悩みを共有する仲間の話だからこそ、素直に受け入れやすい面があると思います。
オンライン上での場作りは課題の一つ
──イベントを運営する中で感じている課題はありますか?
川久保:オフラインのイベントで提供できる価値が大きい反面、オンラインのイベントが活性化しづらいことですね。チャットツールなどのオンラインコミュニティサービスを3つほど試したのですが、なかなか活性化しませんでした。
──課題解決のために、参考にしている他社事例などはありますか?
川久保:ユーザー同士のコミュニケーションがオンラインで活発に行われている企業として参考にしたのは、GoogleやSalesforceといった外資系企業が運営するユーザーコミュニティでした。ただ、当社の場合は外資系企業と比べてお客様からの問い合わせにすぐ対応でき、開発チームとの距離も近いので、お客様同士で自己解決する必要がそれほどありません。
また、Friendsの多くが東京に拠点を置く企業です。そのような背景もあり、オフラインイベントの参加ハードルが低く、オンラインイベントの必要性が低いのかもしれません。
松田:トライする余地はあるかもしれませんが、オンラインコミュニティはFriendsにあまり求められていなかったのだとも思います。今後は、KARTE活用とは少し距離を取って外部の専門家から学ぶ場や、Friendsの特別な思い出になるような企画も用意したいです。
7月にはKARTE活用の習熟度を証明するFriends向けの公式認定資格制度「Certificate of KARTE」をリリースするので、同月開催のMeetupでは参加者が試験を受験し、合格発表を全員で見る企画を考えています。その後は試験のお疲れさま会を兼ねた、ちょっとした夏祭りも予定しています。プレイドと出会ったことで、Friendsの仕事が楽しくなる体験をもっと増やしていきたいですね。
