今こそ新たなビジネスモデルへ脱皮するとき
図表1の中央に「消費者」が位置し「パーソナルエージェント」と記載されている。この「パーソナルエージェント」は、いわゆる、Personal AIでこの「統合パーソナル情報」を利活用することになる。MicrosoftがCopilot APIを提供開始しているが、民放各社はMicrosoft/OpenAIでもGoogleでもAmazonでもFacebookでも好きなところのAIを使って、この「パーソナルエージェント」機能を提供することができる。そのためのクラウドサーバーも好きなところを選ぶことができる。詳細はまた後日に書く。
「個人情報有効活用法」の規定によって、まず、民放局などマスメディアが、自社の1st Party DataとNHKや米国IT企業の1st Party Dataを再利用していくことを提言する。これは、BBCが電波返上しオンライン配信に完全移行した後に、仮に日本でも同様のことが起こって、放送局がオンライン配信に全面移行することになったとしても動じることのないように、いまから準備をしていく。
たとえば、自動運転車の中で、テレビを同時再配信するなどのシーンでも位置情報を使ってターゲティング精度の高い広告を配信できるし、ネット接続さえあれば、飛行機の中でもターゲティング配信できる。技術的にはすべてのIoT機器に対応可能なので、近い将来にIoT広告の世界が到来しても、民放局やマスメディアのビジネスは応用が可能になる。
我々は、相互依存・相互扶助の世界に生きている。このビジネスモデルは、西洋の個人主義的発想だけではなく、東洋的な「経世済民」と相互扶助の原則を反映している。データポータビリティ権の思想も取り入れ、Personal AI(「AIエージェント」「AIアシスタント」「パーソナルエージェント」などの呼び方もある)の行く末も先取りした。広告モデルだけではなく、サブスクリプションモデルにも対応している。
その詳細は次の機会に書きたいが、想定している業界範囲としては、GAFAM、NHK、民放局(テレビ・ラジオ)、新聞・雑誌・専門誌、通信・キャリア、銀行・証券・保険、航空・鉄道、タクシー・交通機関、スマートシティ、スマートホーム、旅行代理店、デパート・百貨店、スーパー・コンビニ、EC、家電量販店、薬局、医療・既往歴データ、バイオ、DNA業界など。
そして、Central Bank Digital Currencyとマイナンバーとも連携可能にすることで、信用力のある人には、日本銀行から直接貸し付けることもできるように、技術的にはなるはずだ。そのほうが、既存銀行の間接金融機能を使うよりも、効率がよいはずだ。また、マイナンバーと連携したデータ配当金などの考えも取り入れている。個人情報の有効活用に起因した利益については、個人情報を使って利益を上げる訳なので、その当事者の個人にも分配されるのが理想だ。これも後日、詳細に話したい。
民放局は、ビジネスモデルの雛形を作ってグローバル展開することもできる。ネット配信は、やろうと思えば、世界中でできるのだ。放送とは別ものだ。以前の記事で書いているが、「タッチポイント/CMP」+「AI/生成AI」+「還元プログラム」が、このビジネスモデルの基本形だ。無駄を省いて効率化して、成長余地のあるところに投資していく。米国IT企業がやってきたことだ。経済成長のためには、効率化して、余剰を投資に回し、投資効果を高めていく。企業として、あるいは、国家として、そのような投資戦略を持たなければならない。「失われた30年」は、無駄を意図的に維持してきた。旧い体質を壊さないように気を遣って、昭和のビジネスモデルを温存し過ぎだ。
「脱皮できない蛇は滅びる」とニーチェは言った。いま、脱皮の時である。
