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マーケティングの近未来

デジタル庁への提言 「個人情報有効活用法」の制定を

「個人情報有効活用法」とは

 ジャン・ティロール教授の思想は、GDPRに影響を与えたと聞く。日本人の個人データについてもジャン・ティロール教授の影響を素直に受けて、そのように「個人情報有効活用法」で規定する。

 これは、データポータビリティにも通じる考えだ。「データポータビリティ権とは、個人がサービスを利用する過程で運営企業に収集・蓄積された自身の情報(利用履歴や入力した情報など)を再利用可能なデータとして受け取る、あるいは別サービスに移行できる権利のこと。この権利を利用して個人の元に集約された「統合パーソナル情報」は潜在的に高い価値を持つと期待されている」(引用:「データポータビリティ時代におけるパーソナル情報の利活用」

 つまり、データポータビリティ権をGoogle検索に当てはめると、日本人がGoogleでどんな検索をしているか、その具体的な検索キーワードの履歴データ(利用履歴や入力した情報など)を「再利用可能なデータとして受け取る、あるいは別サービスに移行できる権利」。そのため、民放局(別サービス)に移行して、より質の高いターゲティング広告のために利用してもらう。それによって、質の悪い広告を排除しやすくなり、より日本人のニーズに合致した広告配信が可能で、かつ、コンバージョン率が上昇し、テレビ局が儲かる。これが大事だ。テレビ局や新聞社などが儲かるビジネスモデルを作るのだ。それと同時に、日本人ユーザーの利便性もアップする。日本人のデータポータビリティ権を「個人情報有効活用法」で規定する。Googleなど米国IT企業は、法律を遵守するだけだ。

 その結果、日本人の「統合パーソナル情報」は潜在的に高い価値を持つことになる。NHKの視聴ログデータだけではなく、Googleの検索履歴データなどの米国IT企業の保持する1st Party Dataをすべて解放し、民放局の広告配信や番組制作などで利活用できるように、「個人情報有効活用法」を定める。これらすべての情報が「統合パーソナル情報」として集約される。これを民放局などマスメディアは利活用できる。大学など研究機関も活用して、AIなどの開発に利用する。日本人のデータは日本人に権利があるのだから、日本の研究機関が優先して使えるように「個人情報有効活用法」で規定するべきだ。そして、日本人の「統合パーソナル情報」に基づいて、日本独自のAIを開発できるように整えていく。

 日本人の「統合パーソナル情報」を構築する。国が主導せずして、誰ができるというのか。デジタル庁、総務省、経済産業省、内閣官房 デジタル行財政改革会議など、必要に応じて連携して欲しい。ここは、日本のトップエリート、官僚機構の大勝負のときなのだ。ヨーロッパともアメリカとも中国とも異なる、日本独自のデータエコノミーのビジネスモデルを世界に示す。範を垂れるのだ。世界でもトップレベルの、日本の官僚なら、できるはずだ。

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今こそ新たなビジネスモデルへ脱皮するとき

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この記事の著者

ヴァイオレット・エヴァーインディゴ(ヴァイオレット・エヴァーインディゴ)

1990年代に米国西海岸に留学し、シリコンバレーで就職。1998年のGoogle誕生に衝撃を受け、ネット広告・デジタルマーケティング領域に職域を転換。2000年代初めに帰国。米国大手IT企業・プラットフォーマーを6社経験。デジタルマーケティングのコンサルティングを生業とする。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/07/03 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46001

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